16.心の準備

 癌は他の急性期の病と比べ、心の準備(大変難しいのですが)身の回りの準備などにある程度の猶予時間を持つことができます。(その間に何とか鬼から逃れようと努力をします)

ピンピンコロリを理想という方も多いようですが、それはある程度の心の準備と周辺の準備が既に整えられている方ではないでしょうか。働き盛りの人が何ら家族に対し言葉も残すことなく突然に朝、布団の中で亡くなっていた等々、本人もさることながら周囲の方達の心境はいかばかりなものでしょう。

一方で癌はそれなりの猶予時間に準備はできるというものの、何から始めたら良いのか、またその間に痛み、不安など、心身の苦しみを伴うことは言うまでもありません。「死」がいつもそこにあるということを意識せざるを得ないのが癌という厄介な病と思います。 
そこで可能な限り癌のことを頭の隅に追いやり、楽しいこと、やりたいことを見つけ出し、それに専念するのも一つの方法かと思います。  
これまでとは違った状況下となり、いろいろなことを改めて考える、経験する、また人との新たな出会いなど、これまでに考えなかった想いをもって過ごしていくこととなり、決して悪いことばかりではないような気がします。

また私は癌が身体の数か所までに拡大した患者となり、来るべき時まで与命を授かったのであれば、自分のために、また誰かのためにも自分なりの努力で病に向き合っていくしかないのです。そのように心を強く持って。

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