7年前のあの日。喜びと悲しみと。
あの日。
ぼくは、どきどきと不安の間で揺れていた。
高校の合格発表の日だった。
半年間つらかったけど頑張ったとは思う。受かっててくれ。
祈る思いで、高校の玄関前に張り出された番号を食い入るように見た。
あった。
あった。
心が晴れ渡るようだった。
半年間の努力が報われた。そんな思い。
振り返ったら、いっしょに頑張ってきた友達も笑っていた。
時計の針は、午後3時半ごろだっただろうか。
同じとき。
遠く遠く離れた地で、人々の命が次々と自然に飲み込まれていった。
人間では抗うことのできない、とてつもない力で。
その命の数と同じ、それ以上の悲しみがあふれていたと思う。
ぼくはなにも知らなかった。
ぼくらが喜びで胸いっぱいだったのと同じ時間に、
誰かにとっての大事なものが、
次々と消えていく悲しさがあふれていたこと。
同じ日本で、
最高の喜びと最高の悲しみが同居していたこと。
不思議な感覚だった。
震災の日が来るたびに、
ぼくは思い出す。
喜びと悲しみが同居していた、
場所は違えど、同じ時間のなか。
そしてなにより、
その時、たくさんの尊いものが失われていったこと。
何年たっても、忘れることはできないと思う。
あの日から、もう7年。
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