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オランダで家を探す前に

オランダの家賃は年々上昇している。ここ数年だけでも1~2割程度増加したような印象がある。さまざまな経緯により未だ多くのオランダへの移住者が後を絶たず、政府は不動産市場を規制する方針をとる。このようなことも一因となり現在も家賃上昇が続いていると考えられる。

家賃の上昇は痛手であることは間違いないが、昨今の光熱費の上昇も激しい。ある同僚の話では冬に使用するヒーター代だけで月5万円を超える請求があったそうだ。一方、別の知人の家は家賃にそのヒーター代が含まれているため光熱費の変動を受けにくいと言う。暖炉のある家では薪で部屋を暖めることができるが、煙突の掃除にはお金がかかり、ご近所さんから煙の臭いによる苦情にも気を配らなければならない。

オランダの家は海外住宅の例に漏れずたいてい雨漏りする。窓の隙間から風が入る。エアコンが無いので夏は暑く、冬は床と壁が凍えるほど冷たい。それにもかかわらずあまり乾燥はしていないので人が長く居る寝室にカビが生えたりもする。ときどき部屋のドアが閉まらなくなったり天井を支える柱が動いたりする。トイレやバスタブが詰まることは当たり前。それでいて梅北高級マンションに家族で住めるような家賃だったりする。オランダに住むということはこういうことでもある。

多くのオランダ人は日本人が気になることがあまり気にならないのかもしれない。オランダ人はDIYが好きだ。それはもちろんそれ自体が好きな人もいればお金を節約したいと考える人もいる。どちらかといえば後者が多いような印象がある。ちょっとくらいペンキの塗り方がきれいでなくても味があると言って節約DIYを楽しむ。持ち家でも賃貸でも自分たちが住みやすいように作り変え、自分たちの生活スタイルに家を合わせる。少しくらい雨漏りがあっても隙間風があっても自分たちができる方法でどのようにでも直す。それでも雨が漏れているのならそれは仕方ないと諦める。本当にまずい雨漏りならようやく本職にお願いする。
話が逸れるが、自転車だって最新の電動自転車に乗る人もいれば、穴の空いたサドルを袋でカバーしたボロボロの自転車に乗る人もいる。ボロいからといってそれを恥ずかしがるオランダ人を知らない。オランダ人は堂々とボロに乗る。それが恰好良かったりもする。


この古くない家にも住み始めた頃からずっと雨漏りする窓がある。いくら手を尽くしても止まらない。夜中の雨があると朝には床に大きな水たまりができる。最初は気になって何度も起きた。それが数年経ったころから「あぁ、またあの季節がやってきた」としか感じなくなった。朝起きて床に水が溜まっていたら拭けばいい。近年はもう、拭くことすらせず乾くまでずっと待っている。


あなたがこの記事を読み、もし日本のような快適で冬暖かく夏涼しい家じゃないと嫌だなと感じるのであれば家探しは難航するかもしれない。しかし、そのようなものにも挑戦してみたいという好奇心が少しでもあるのなら、とても楽しいオランダ生活が待っている、かもしれない。


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