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大前研一 名言集 『チャイナ・インパクト』(13)

『チャイナ・インパクト』(13)

 『チャイナ・インパクト』(初版 2002年3月29日 講談社)は、中国を正しく理解するための視点を提供してくれる本です。中国関係では、この本を含めた3部作(『中国シフト』『中華連邦』)は必読です。

 20年前に出版された本とは思えない内容です。中国に関する情報としてかなり確度の高い内容であったと今になってよく分かります。
 中国問題の専門家とは異なる視点で書かれています。大前氏は自分の頭で考えるだけでなく、必ず現地へ足を運び、自分の五感を使って自分の考え方と実際にはどう違うのか確かめ修正します。大前氏は行動の人です。

今の中国は、日本についで外貨の蓄えがある。台湾レベルの都市は、現在の中国にはいくつもある。すでに技術だって手に入れた

今の中国は、日本についで外貨の蓄えがある。台湾レベルの都市は、現在の中国にはいくつもある。すでに技術だって手に入れた。珠江デルタを見れば、台湾というカモが、技術というネギをしょって東莞にやってきてくれたようなものだ。立ち止まってふと考えてみれば、中国にとって台湾の重要性は著しく減ってしまったのである。

『チャイナ・インパクト』 大前研一の名言 1 〈118〉


ホワイトカラーに限って言えば、中国でも人件費はどんどん上がっている

ホワイトカラーに限って言えば、中国でも人件費はどんどん上がっている。優秀なスタッフはいわゆるアメリカ帰りだったり、外資系企業との引き抜き合戦があったりして、国際的な時価に近づいているのだ。私もマッキンゼー時代にそういう人材を随分採用したが、すぐに国際的な相場に上がってしまった。

『チャイナ・インパクト』 大前研一の名言 2 〈119〉


「中国はすべてをこの10年でやりつくさなければならないのです」ということをしきりに強調する

中国の経営者の多くは、公式の場から場所を変えて話をすると、「10年の間に全部やらなければダメなのです。中国はすべてをこの10年でやりつくさなければならないのです」ということをしきりに強調する。それだけ近い将来に対する危機感がある。

『チャイナ・インパクト』 大前研一の名言 3 〈120〉


➳ 編集後記

『チャイナ・インパクト』(初版 2002年3月29日 講談社)は、中国を正しく理解するための視点を提供してくれる本です。20年前に出版された本とは今振り返っても凄いと思います。大前氏は常に先を観ています。 

今読んでも、内容は古さを感じません。陳腐化していません。
その理由は、大前研一氏が物事の本質を述べているからです。洞察力が素晴らしいと思います。ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化します。

➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。

🔶 20年前当時は、台湾は中国に限らずあまり重視していなかったようです。ところが現在はどうでしょう。前回も書きましたが、TSMCという米Intelに次ぐ半導体製造メーカーがあります。

台湾は、中国に支配されないために、生き残る道を探り、「産業の頭脳」とも「産業の心臓」とも喩えられる半導体を製造する技術を身に着けたのです。

昔、日本電気や富士通、日立、三菱電機が半導体の世界シェアの多くを占めていました。しかし、半導体製造にコストがかかる割に儲からないと判断し、撤退してしまったという歴史があります。

経緯については下記をご覧ください。




🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は14年前にFC2ブログで書きました(2008-02-10 10:01 by 藤巻 隆)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。

✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。

現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)

大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。








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