見出し画像

大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(21)

『ロウアーミドルの衝撃』(21)

「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。

しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。

派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。

そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』(発売日 ‏ : ‎ 2006/1/26です。

現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
 
 

民間企業では1人が複数の業務を兼任するのがふつうで、工場でも1人がいくつもの工程を担当する「多能工」が当たり前になっている
ところが役所の仕組みはそうではない


労働時間が短いうえに地方公務員はヒマで、役所の窓口などを観察していると、ほとんどの人間は退屈そうにしている。

公務員がヒマな理由は、日本の役所に「整数論」がはびこり、兼任ができない仕組みになっているからである。

日本の役所はおおよそ0.3人分の仕事に1人を充てている。0.3人分の仕事を3つやっても0.9だから1人でじゅうぶんさばけるはずだが、その仕事量に対しても、日本の役所では「3人必要」ということになってしまうのだ。

民間企業では1人が複数の業務を兼任するのがふつうで、工場でも1人がいくつもの工程を担当する「多能工」が当たり前になっている

ところが役所の仕組みはそうではない

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 1 〈307〉                              



窓口が込み合うことなどめったにないから、窓口業務を兼任することは簡単なはずだが、公務員はそれができないのである


たとえば市区町村の役所に行くと、戸籍住民課、税務課、年金保険課、福祉総務課、生活福祉課、高齢者福祉課などいくつもの窓口があり、窓口にはそれぞれ別の担当者がいる。

窓口が込み合うことなどめったにないから、窓口業務を兼任することは簡単なはずだが、公務員はそれができないのである

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈308                             
                                  
         







公務員は、多能工化することですくなくとも3分の1には減らせる



公務員は、多能工化することですくなくとも3分の1には減らせる

さらに、次に述べる業務のアウトソーシング化など、業務の集約化をはかることで、少なくとも福祉関係の職員を除けば、公務員の数は10分の1に減らすことができるのだ。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈309〉                  



➳ 編集後記

ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。

🔷 今でも思い出すと、腹立たしく感じることがあります。
とある役所へ出かけた時のことです。
30年近く前のことです。

車庫証明の申請に必要な、土地の「評価証明書」を取得することが目的でした。

その役所には、利用者はほとんど見えず、暇な状態でした。

何気なく、受付カウンターの後方へ目をやりました。
するとなんということでしょう。

女性職員がみかんを食べながら、毛糸の編み物をしていたのです。

しかも、周囲の職員は、彼女がそのような職務に全く関係のないことをしていても、見て見ぬふりをしていたのです。

私は不思議な感覚に囚われました。私は別世界へ来てしまったのだろうか、と感じたのです。

一応、そこの職員は皆紺色のブレザーを着用し、名札をつけていました。
しかし、「毛糸の編み物」をしていた職員は上着を脱いでいました。あたかも「私はここの職員ではありません」と言いたげでした。

余計な職員を抱えている部署は、人員を削減すべきだ、と思いました。

さすがに、現在では同様な光景を目にすることはないと思いますが、民間と比べ生産性の低さは明らかです。

その役所は、私が住む地域を管轄する役所ではないので、どうにもなりませんが、他の役所でも大同小異なのかもしれないと思うと、税金の無駄遣い以外の何物でもないので、職員削減をすべきだ、と実感しました。

民間企業では、当たり前のように実施されているリストラが、公務員の世界では全く行われません。身分が保証されているのです。

だから、危機感を感じるはずもなく、住民のためのサービスが行えないのだ、と断言できます。

当時と比べ、役所の現況は改善されているでしょうか?
私は疑いを抱いています。




⭐ 参考になるデータは下記のサイトでご確認ください。


多能工化(マルチスキル化)とは?導入のメリットや今後の取組について紹介


このサイトを見ると、多能工化(マルチスキル化)とは、
多能工化(マルチスキル化)とは、組織の従業員を単一の業務・工程のみでなく複数の業務・工程に対応できるよう育てることを指します
ということです。

多能工化(マルチスキル化)導入のメリットは次の4つだそうです。

1 業務の平準化・負荷の均等化
2 生産性の向上
3 リスク回避が可能
4 組織・チームワークの向上

物事にはメリットがあれば、必ずデメリットがあります。

多能工化(マルチスキル化)導入のデメリットは次の3つだそうです。

1 業務上の無駄の発生
2 育成コストがかかる
3 人事評価制度の見直し

⭐ 出典元: Qast Lab 1月 12, 2022





大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。






🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-07-02 22:29:57)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。










サポートしていただけると嬉しいです。 サポートしていただいたお金は、投稿のための資料購入代金に充てさせていただきます。