アジアファースト さらば、見せかけの「現地化」 2014.03.31 Vol.64 2/2 2014-05-19 21:52:17
日経ビジネスの特集記事 Vol.64
アジアファースト さらば、見せかけの「現地化」 2014.03.31 Vol.64 2/2 2014-05-19 21:52:17
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
今こそアジアを母国市場と捉え直し、「アジアファースト」という事業構造に転換すべきだということ
が主要テーマです。
少子高齢化が急速に進行し、社会が成熟した日本と比べ、若年層の割合が高く、これから本格的な消費社会が到来するアジア諸国。
日本企業の熱い目が注がれています。一步でも先んじなければ、旨味にありつけない、という意識が製品づくりに影響を及ぼしています。
現地の要求を満たす商品づくりをするには、どうしたらよいのでしょうか?
現地で生活する人たちに聞いて回る、足で稼ぐ「どぶ板営業」です。
もはや、日本では古い営業方法だと片付けられ、ほとんど行われていません。
しかし、アジアでは、この「どぶ板営業」が効果を発揮しています。
PART3 常識の逆に、活路あり
日本の常識を一度オールクリアし、アジア地域の実態を観察し、地域密着型の営業が欠かせません。
「郷に入っては郷に従え」(When in Rome, do as the Romans do.)ということわざは今でも生きています。
日常生活用品を扱う、花王の例を見ていくことにしましょう。
技術力だけではない、泥臭い営業手法が使われていることに、気づきます。
花王のケース
具体的にどのようにして需要を掘り起こしているのか、見てみましょう。
現地化の具体策
本社の方針も転換しています。販促費の使い方にもそれは表れています。
仕事を丸投げするのが現地化ではない
権限移譲は行っても、無制限に認めるわけではなく、本社の手綱さばきが問われることになります。
余談になりますが、花王の名前の由来はご存じですか?
「顔を洗える高品質な石けん」を印象付けるためだったということです。
洒落で、顔を→花王になったという嘘のような本当の話があります。
PART4 中小の「壁」は超えられる
花王などの大手メーカーは豊富な資金力(カネ)、技術力(モノ)、優れた人材(ヒト)を活かし、事業を展開していくことが可能です。
では、ヒト、モノ、カネの壁を超えるために、中小企業はどうしたらよいのでしょうか?
日経ビジネスは、東京都大田区にある、油圧シリンダー製造の「南武」という中小企業のケースを紹介しています。
南武のケース
具体的な支援の仕組みとは、次のことです。
現社長・野村さんが2005年、当時社長だった父に頼まれてタイに赴任した時、日本の商社に間借りした拠点の惨状に愕然としたそうです。
拠点は狭くエアコンもなく、従業員はすぐ辞める。再建しようにも工場を建てるのには1億円以上かかるため、売上高二十数億円の南武には荷が重すぎ
たのです。
そうした状況で、大田区の職員が持ち込んだ話は、まさに、「渡りに舟」だったのです。
さらに、資金調達を支える体制も整ってきたそうです。
主なものは2つ。
1つは、「中小企業経営力強化支援法」による現地銀行から現地通貨で融資を受けられる仕組み。
もう1つは、日本政策金融公庫(JFC)が現地の銀行に信用状を発行して「お墨付き」を与えることで、現地通貨で融資を受けられる仕組みが出来上がっているということです。
現地通貨での融資ですから、為替リスクが回避できる、というメリットもありますね。
南武の今までの仕事ぶりが、大田区や日本政策金融公庫に信用されていたということです。
PART5 アジア卒社長が語る要諦
アジアでは、日本での成功体験は通用しない、と考えたほうが良いのかもしれません。
変化の激しいアジアでは、「走りながら考えるマネジメントが要求される」(p.044)ため、迅速に課題を解決していく体制づくりが何より必要でしょう。
中小企業の機動力を活かして欲しい、と思います。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)がある調査を実施したそうです。
それは、「社内のトップ20人に入るリーダーが新興国に在籍しているかどうかと、業績の関係」を調査したものでした。
その結果、リーダーが在籍していることと、好業績は正の相関をはっきり示すことが分かったそうです。
つまり、「現地で意思決定できる仕組みを持っているかどうかが、事業の成否を分けるからだ」と、日経ビジネスは指摘しています。
権限移譲と本社のさじ加減がバランスよく機能することが不可欠である、と私は考えています。
日経ビジネスは、4人の社長が行っている特徴を短い言葉でまとめています。
ピジョン(育児用品メーカー)の山下茂社長
“地べたを這ってでも現地で販売先を開拓” (p.045)
ナブテスコ(精密機器や鉄道、輸送機器向け制御装置の製造)
の小谷和朗社長
“まずゴーサインを出し注意しながら修正をかける” (p.046)
マブチモーター(小型モーターや精密機器の製造)の大越博雄社長
“あうんの呼吸で本社と現地が意思疎通できる” (p.047)
広貫堂(創業138年の老舗で配置薬ビジネスを展開)の飯田光孝社長
“投資は小さく始めてダメだと見たら次に行く” (p.048)
日経ビジネスは、4人の社長に共通点を見出しています。
🔷編集後記
この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことで、アメブロでも9年前(2014-05-19 21:52:17)のものです。加筆修正してあります。
日本企業がアジア諸国へ進出し、現地生産のみならず、現地の顧客開拓に励んだ結果、一定の成果を挙げたことはご存じの通りです。
当時から今日に至るまで、現地に根を張り、努力を続けた人たちの努力の賜物です。
新型コロナ禍が発生し、アジア諸国の各地で工場閉鎖や人々の移動が妨げられましたが、ようやく復旧してきました。
日本にとって、また日本企業にとってアジア諸国には若い働き手が多く、「世界の工場」にもなりうる国々であり、また豊富な消費者が存在する国々でもあります。
Win-Win の関係を築き、共創社会を作り上げていくことが私たちアジア人の使命だと固く信じています。
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