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堀 紘一 名言集 『リーダーシップの本質』(50)

『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』(50)

『リーダーシップの本質』(初版 2003年6月26日 ダイヤモンド社)は、堀 紘一氏が満を持して上梓した優れたビジネス書です。

 略歴は著者紹介に譲るとして、堀 紘一氏はボストンコンサルティンググループ日本法人代表、ドリームインキュベータ(DI)創業者となり東京証券取引所に上場させました。単なる経営コンサルタントではありません。

 DIは現在電通グループ(電通G)の傘下にあり(電通GがDIの株式を20.95%保有しています。 2022年9月30日現在)、堀氏は代表取締役を退任されています。

 著名な経営者と「経営の本質」を議論しあい得た知見は類稀なものです。
 優れたビジネス書を数多く執筆しています。難しい言葉は極力排除し、エピソードを交え、分かりやすく解説しています。



リーダーは組織外にも独自のネットワークを持つ必要がある。社外でつき合う先には銀行や証券会社、お客様、そして仕入先がある。リーダーは仕入先との間にこそ、しっかりとネットワークをつくっておかなければいけないのである

リーダーは組織外にも独自のネットワークを持つ必要がある。社外でつき合う先には銀行や証券会社、お客様、そして仕入先がある。
 その中でお客様はこちらに対して、比較的はっきり、厳しい意見を言ってくれるものだ。「お宅の製品はここが弱い」とか「お宅のセールスマンはこの点で問題がある」などと。
 むしろ軽視されがちなのは仕入先である。しかも仕入先は、お客である納品先に対しては普段から何も言わない。苦言を呈することはまずない。だが、だからこそ、仕入先を軽視してはならない。
リーダーは仕入先との間にこそ、しっかりとネットワークをつくっておかなければいけないのである。

『リーダーシップの本質』 
堀 紘一の名言1<148> 


「最近の御社はこうですよ」と呈してくれる苦言は非常に貴重な情報である。社内外のネットワークは、いずれも通常のルートからは入ってこない情報をもたらす

 仕入先は、口に出さないだけで案外周囲の状況を的確につかんでいるものである。彼らが重い口を開いて、「最近の御社はこうですよ」と呈してくれる苦言は非常に貴重な情報である。そういうホットラインを結べるかどうかが、リーダーの状況判断を左右することになる。
 こうした社内外のネットワークは、いずれも通常のルートからは入ってこない情報をもたらす。そうした情報をすべて知らなければならないということではない。たとえ断片的であっても、そうした情報を得ることが、リーダーの目を見開かせ、リーダーに道を誤らせないくさびとなるのだ。

『リーダーシップの本質』 
堀 紘一の名言2<149> 



ネットワークが網羅的でなくとも、情報が断片的であっても、それが入ってくるようになってさえいれば、リーダーはそれらの情報を十分生かすことができる。リーダーは独自のネットワークから得た生の情報によって、フォーマルな情報ネットワークの情報を補正することができる

 ネットワークが網羅的でなくとも、情報が断片的であっても、それが入ってくるようになってさえいれば、リーダーはそれらの情報を十分生かすことができる。リーダーに与えられたフォーマルな情報ネットワークによって、リーダーには情報が集約されることになっている。
 リーダーは独自のネットワークから得た生の情報によって、フォーマルな情報ネットワークの情報を補正することができる

    『リーダーシップの本質』 
堀 紘一の名言3<150> 


✔ 出典元

『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』
2003年6月26日 第1刷発行 ダイヤモンド社



✍ 編集後記

🔶  『リーダーシップの本質』は堀氏の経歴に違わない内容の本です。重要な点は「本質」です。すぐに廃れてしまうハウツーものとは根本的に違います。

私たちは新奇さに目を奪われることなく、常に「本質」とは何かに着目する姿勢を貫きたいですね。

勉強は一生続けることが大切です。世の中は常に進歩しているのですから。劇的な変化にも予兆はあります。感度の良いアンテナを張り、見逃し、聞き逃ししないようにしましょう!

何歳でも、何歳からでも勉強はできます。書籍を手許に置いておけば、いつでも何度でも参照することができます。

「この本は良書だ」と思ったらその1冊の本を何度も読み返すことが重要です。

一度読んだくらいですぐに理解できたという著書は、中身は大したことはないと判断するべきでしょう。「韋編三絶」という言葉がありますね。


🔷「リーダーは独自のネットワークから得た生の情報によって、フォーマルな情報ネットワークの情報を補正することができる」

巷間よく言われることですが、「一次情報に当たれ」があります。

二次情報、三次情報・・・では新鮮味がないだけでなく、一次情報と乖離してしまうことがしばしば発生するからです。

伝言ゲームをしたことはありますか?
5人~10人位が1チームになり、比較的長く、込み入った文章を耳元で伝えていくゲームです。3チーム以上で競います。

1人目の人が2人の人に伝える場合には、ほぼ元の文章が保たれます。話し手と聞き手で伝え方と聞き方に間違いがなければ、という前提条件がありますが。

ところが、3人目以降になると、内容がどんどん変わって言ってしまうことがあります。重要な部分が剥落したり、本来の内容には関係のない要素が加わることがあります。

そのようにして最後の人まで伝言が届いたら、その伝言を発表します。
すると、元の伝言の内容がチーム毎にまるで違うものになっていることがよくあります。

述べたことは一つの例ですが、何層にもわたる伝聞は事実と異なることが多いという現実があります。

SNSで「情報」が拡散することがあります。その情報にはすべての内容が含まれているならばよいのですが、しばしば一部を切り取ったものであるため、内容が歪められることが非常に多くあります。

企業内でのケースを考えてみますと、部下から聞いた情報と、リーダーが自ら集めた情報とすり合わせみると、ズレがあることを実感することがあるでしょう。

さらに言えば、フォーマルな情報とインフォーマルな情報(独自のネットワークによって得た一次情報)は乖離しているというよりも、真逆のケースさえあります。

私は情報に関して下記のような考え方をしています。

・情報は時間の経過とともにすぐに陳腐化する性質を持っている。
・情報にはいつも「正しい内容」と「間違った内容」が含まれている。
・発信者の意図あるいは主観によって情報は着色されたものになる。無色はあり得ない。
・受信者の先入観によって、本来の趣旨(物事を行う理由や目的)や主旨(文章や話の中心となる事柄)が歪められる恐れがある。
・「情報とは2つ以上の違った意見である」(情報とは複数の異なった意見である)<元外交官で作家の岡崎久彦氏の言葉>

いくら数多く情報を集めても、同種のものであるならば、それは情報ではないと解釈しています。

あるテーマに関し、全く異質な情報を収集・分析することで本質が見えてくる可能性があると解釈できます。


✒ 堀 紘一氏の略歴

ドリームインキュベータ代表取締役社長。
1945年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業。ハーバード大学大学院経営学修士(MBA with High Distinction)。読売新聞、三菱商事、ボストンコンサルティンググループ(BCG)社長を経て、2000年にドリームインキュベータ(DI)創業。
BCG時代には、金融、ハイテク、消費財、Eコマース、中期戦略など数多くの戦略策定及び実行を支援。
『知恵は金なり』『強い会社はこうしてつくれ』『成功する頭の使い方』(PHP研究所)、『人と違うことをやれ!』『どんな「壁」でも突破できる』(三笠書房)、『挑戦! 夢があるからビジネスだ』『脱皮できない蛇は死ぬ』(プレジデント社)、『できることから始めよう!』(ダイヤモンド社)、『ホワイトカラー改造計画』『21世紀の企業システム』(朝日出版社)など著書多数。
(『リーダーシップの本質』の著者紹介から)


✒ 堀 紘一氏の略歴補足

2020年に堀氏はDIの取締役を退任し、DIは電通の傘下となりました。
近況は下記をご覧ください。
「セカンドライフ」を謳歌しているようです。



⭐出典元: 『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』


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