見出し画像

ノンコピーライターのための「コピーの基礎講座vol.1」

こんにちは。たきコーポレーション[ ZERO ]のコピーライター兼コミュニケーションディレクターの林健太と申します。

気がつけばコピーライター歴も20数年。この仕事をはじめた頃は、四苦八苦しながらコピーを考える毎日。経験を積んで今ではラクラク…と言いたいところですが、まあ相変わらずコピーを書くのに頭を抱えることも…。そこで、改めてコピーってなんだっけ?と振り返ってみることにしました。

というのも、近年いろいろな企業様で、広告制作の一部を社内のデザイナーが制作されていると聞きます。その際、コピーもデザイナーが苦労しながら考えているとかで、コピーの研修を依頼されたのがきっかけでした。ノンコピーライターだけどコピーを書かなければならない方々に、ちょっとでもお役に立てればと思います。

コピーライティングに一番大切なのは?

コピーライターは言ってしまえば「ただの人」。デザイナーのように様々なデザインツールが使えるわけでもなければ、プログラマーのようにプログラム言語も習得していない。日本人であれば日本語は書けてしまうワケで…。実際、デザイナーが“素敵”なコピーを創るなんてこともよくあります。

ただ、誤解されやすいのが、この“素敵”ということ。ここでいう“素敵”とは、単に伝えたいことを美しい言葉やオシャレに表現することではありません。大切なのは課題を解決したり、目的を達成するための“素敵”な言葉になっているかどうか、ということ。

そもそもキャッチコピーの起源は平賀源内と言われています。耳にしたことがある方も多いとは思いますが、実は起源にして真髄とも言えるので改めてご紹介します。ある日、平賀源内が、うなぎ屋からこんな相談をされました。「うなぎの旬は秋の終わりから冬にかけて。でも、夏にも売れるようにできないものか?」。そこで平賀源内は考えました。「夏に食べる理由が必要だ!しかし、旬ではないので味ではなく栄養価で価値を提示しよう」と。そこで生まれたのが“土用の丑の日 うなぎの日”というキャッチコピー。

なぜこのコピーが効果的だったのかは、図にある通り。受け手の深層心理を掘り当て、その課題を解決する言葉だったからです。こうした効くコピーかどうかのジャッジをするためにも、コピーライターは企業や商品の伝え方を考えるとともに、ただの受け手、ただの読み手になりきることが大切。つまり「ただの人」である感覚が実は重要だったりします。

5W1Hを考えて、「ただの人」目線で疑う。

では、実際にコピーを書くためにどんな準備をするべきか?
5W1Hの型をベースに考えていきましょう。

Who… 誰に紹介したい商品・サービスなのか、ユーザーをきちんとイメージしましょう。
What… 商品・サービスの何を伝えるべきか?あれもこれも言いたくなりますが、思い切って1つにしぼる、または優先順位をつけましょう。
Why… そもそも、なぜ広告が必要なのか。商品・サービスに興味を持ってもらうためにはどんな課題があるのかを把握しましょう。
When… いつ打ち出すのか。季節などによってユーザーの需要や意識も変わってきます。
Where… どこで打ち出すのか。TVCMなのか、DMなのか、媒体に適した表現になっているか。
How… どのような手段で目的を達成するか。売りのポイントを訴求すればWhyの課題を解決できるとは限りません。認知がなければバズを狙うという手段もあります。

これらを整理したら、容赦なく「ただの人」目線で疑ってかかりましょう。本当にそのユーザーイメージは存在するのか?その訴求ポイントはユーザーが望んでいるのか?その課題は正しいのか?などなど。多くの場合、商品・サービス提供側の、そしてコピーの書き手の都合の良い整理をしている場合があります。なので、「ただの人」目線で見直す必要があります。

ここまでくれば、後はいろいろな表現を試していくだけ。最後に、書いたコピーを「5つの項目」でチェックして、クリアできていれば完成です。

□ めざすゴールに沿っているか。
□ ターゲットに向けた言葉になっているか?
□ わかりやすいか?伝わる速度は早いか?
□ 独自性はあるか?ベタな表現になっていないか?
□ 魅力的に思ってもらえるか?


今回ご紹介したのはコピーの基礎ですが、何ごとも基礎が大切。これらを理解しておけば、今後、よりAIが進化しキャッチコピーを生成することが主流の時代が来た際も、的確な指示(プロンプト)を出すことができたり、生成されたコピーを正しく選定できるかもしれませんね。
もし、もう少し詳しく聞いてみたいという方がいらっしゃいましたら、表現の発想法やキャッチコピーの型など、基本的なものではありますが、コピー研修なども承っておりますのでご相談ください。