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煩悩喫茶Agua「わたしがフリーライターになるまで」

前回の「やりたいことがわかりません」のお客様のご要望に応えてのお話になります。

 私の本業はフリーのライター兼編集者です。この仕事についたきっかけをよく聞かれますが、「ずっと目指していたんでしょう?」「夢をかなえたのでしょう?」と言われることはもっと多いです。ところが、むしろその逆。こうしてライターになってしまったのが、自分でも不思議です。

 学生時代の私は、マスコミ関係者が嫌いでした。テレビや新聞、有名雑誌の仕事をしていることをひけらかす人たちを見たせいです。なぜそんなに得意になるの? 自分たちが日本社会を動かしてると思ってるの? 未熟だった私は、何人か見ただけで、そんな風に思いこんでしまったのです=後年、この業界にも、いろいろな人がいると知りましたが。

 社会人になった私にキャリア志向は無く、お給料がもらえて仕事が楽そうなところなら、どこでもよかった。子どもの時から体が弱く、根性もなかったので、ゆるく生きたかったのです。そうして選んだ会社ですから、仕事は男性のアシスタントで、定時きっかりに上がれました。アフター5は友人たちと飲食したり、映画や買い物に行ったり・・・。
 そんな毎日に飽きてきた頃、同僚から「一緒に生け花を習わない?」と誘われました。勤め先の福利厚生で、おけいこ事が割引になったのです。他に茶道や英会話などがありましたが、どれもピンと来ません。しかし、習い事という“ヒマつぶし”があったことに気づきました。

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