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「東京の自分」を、捨てる旅。/今週の、いちばん。52

さきほど、気仙沼から帰ってきた。
土曜の早朝に出発し、一泊二日の行程だったのだけど、れっきとした仕事である。
僕が今所属する会社、BOLBOPの事業の一つ、Heart Lighting Journey(被災地での合宿研修)のスタッフとして参加してきたのだ。

この事業はBOLBOP設立時からあったもので、じつは前職のときも、休みが合えばボランティアとして手伝ってきた。
個人的にも思い入れのあるサービスで、僕と今の会社をつないできた仕事と言ってもいい。
参加するたびに発見があるのだけど、今回もまた色々な気づきをえた。

そもそも僕は、BOLBOPに転職して、まだ一か月経っていない。
でも、前職を辞めてから一日も休みを取らず参画し、仕事の仕方や求められる成果の変化にも戸惑いつつ過ごしたここ数週間は、ずいぶんと長い時間に感じられた。
正直、働き方で悩むこともある。また、ハードな数週間のしわ寄せで疲労もたまっているし、プライベートでストレスを感じることもないわけではない。

ただ、気仙沼に来ると、そんな自分が一瞬、消える。
漁船の上で、餌につられて飛んでくる大量のカモメに驚き、カラッと晴れた唐桑湾の空を眺めるうちに、「東京の自分」を客観視できるようになる。
かつて、この地を容赦なく襲った(でも、今はとても静かな)波に揺られるうちに、自分のちっぽけな悩みなんてどうでもよくなる。
気仙沼の強大な自然と、その中で強く生きている人にふれると、もっとやれることがあるだろうと思う。

僕はねっからの東京人だし、この街が大好きだ。
けれど、東京で働き、暮らす中で、自分の心と体に、何とも言いいがたいものがへばりついて、それで身動きが取れないように感じるときもある。
気仙沼への旅は、そんな自分を身軽にしてくれる。
あの場所に何を捨て、何を持ち帰ってきたのか確認してるうちに、東京の新しい一日が始まろうとしている。

今週のいちばん、自分が軽くなった瞬間。それは4月26日、気仙沼の唐桑湾で漁船に揺られていた瞬間です。


*「今週の、いちばん。」は、その1週間で僕がいちばん、心が動かされたことをふりかえる連載です(下の「このマガジンに含まれています」のリンクから全部の記事が読めます)

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