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見る、聞く、でも言わない。/今週の、いちばん。81

先週、数年ぶりに、渋谷のタワレコに行った。
昔、渋谷にある大学に通っていたので、当時は学校帰りにタワレコに寄って、よくHIP HOPのCDを探していたものだ。
久しぶりに店内に入ると、どうしても視聴したくなる。
じつは、欲しかった日本語ラップのアルバムがあったのだけど、お店でtha BOSSの「IN THE NAME OF HIPHOP」を聴いて、思わず即買いしてしまった(オフィシャルの音源をいくつかリンクしておく/  )。

このアルバムで、お気に入りの曲はいくつもあるのだけど、一番聴いてるのは、今勢いがあるPUNPEEがビートを提供した「SEE EVIL, LISTEN EVIL, SPEAK NO EVIL」だ。
面白い曲名だなと思っていたが、もともと「see no evil, hear no evil, speak no evil.」という英語のフレーズがあるらしい。いわゆる「見ざる、聞かざる、言わざる」だ。
じゃあ、それをもじったtha BOSSの曲名の意味は?
直訳すると「見ろ、聞け、言うな」ということか。
ここでは、自分を主語にして「見る、聞く、でも言わない」と訳したい。

会社員でありながら個人事業主も始めて半年以上がすぎ、ときどき、しんどいこともある。
これは経験しない人に正確には想像できないだろうけど、フリーランスはやっぱり立場が弱い。
それを意識してのことか知らないけれど、たまに無茶なお願いがくる。
あなたが「受注」の立場になったら、そんな「発注」されたくないでしょう、と思っても、現実としてお互いの立場は変わらない。
それでも気合いで解決するときもあれば、できないときもあって、続く仕事があれば、終わる仕事もある。
会社員を続けていただけでは多分見られないものを見たし、聞けない言葉を聞いてきた。

僕はもともと、(見た目ではそう思われないかもしれないが)気が強いし、言いたいことは言うタイプだ。
自慢ではないが、少なくとも仕事に関しては、怒りの沸点も低かったりする。
だから、ときどき、これはないんじゃないかなと思ったことについては、無性に人に言いたくなる。

でも、言わない。
いや、その仕事相手には直接言うけれど、それを他の場では、極力言わないようにしている(たまに愚痴ってしまうこともあるけれど)。
noteもそうだけど、発信する場が色々ある今の時代、油断すると「こんなことがあったんだよ」とキーボードを叩きたくなるけれど、言わない。
言うのなら、相手に、直接。離れたところで、一方的に言ったところで、きっと何も変わらない。
この点に関しては、たぶん、昔より我慢強くなったと思う。

前にも書いたけど、僕のFBなどを見てる人から「毎日、楽しそうだね」とよく言われる。
それは、楽しくないことを、いちいち言わないようにしてるからだ。
楽しくないことも、しばしばある。でも、言わない。
終わってしまったこと、変えられないことについては、言わない。
そのかわり、もっと楽しく働けるように、生きられるように、言うべきことは言い続けている。


今週のいちばん、「言わない」と決めた瞬間。それは11月18日、神楽坂の自宅で、tha BOSSの「SEE EVIL, LISTEN EVIL, SPEAK NO EVIL」を繰り返し聞いた瞬間です。


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