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仕事はやっぱり、ワンチャンス。/今週の、いちばん。42

飲み会の幹事が、長らく「得意科目」だと思っていた。
これは「面白い人・楽しい人を集められる」ということでもあるし、「よいお店を知っている(あるいは、お店を知っている人を知っている)」ということでもある。
前者は、編集者という仕事柄、当然と言えば当然だろう。後者は、自分が見つけた店や連れられて気に入った店を、そのつど「はてブ」に登録してきた蓄積だ。
幹事として、つねに100点の解答ができたつもりはないが、おおむね合格点はとってきたつもりである。

ところが、先日、やってしまった。
ずいぶん前に発案した飲み会があり、僕らは(自分が選んだ)新宿のあるチェーン店を訪れた。
チェーン店といっても料理はまずまずだし、オープンしたばかりの店舗のため店内も綺麗で、落ち着いて飲めるはずだった。

しかし、そんな期待はすぐに打ち砕かれた。
平日にもかかわらず(店にとっては)予想以上の客が訪れていたようで、オペレーションがぼろぼろ。
ファーストドリンクすら全然来なくて、すべてのメンバーの飲み物がそろったのは入店30分後だ。
悪いのはお店、なのかもしれないが、あまり深く考えずにその店を選んでしまった自分としては、まさに幹事失格。
恥ずかしいやら腹立たしいやらで、一次会は早々に切り上げ、そのあと馴染の店にみんなを誘導するので精一杯だった。

チェーン店を出るとき、僕は店長らしき人と言葉を交わした。
「いつもこんな感じですか?」と尋ねると、本当に予想以上の来客で普段はこんなことはないとのこと。
じつは以前もその店を使ったことがあるので、それはきっと事実だと思う。
ただ、残念だけど、確実に足は遠のくだろう。少なくとも、その日のメンツと再訪することは絶対にない。

僕は飲食店の本をよく作るし、飲み会も大好きで、だからあまり飲み屋さんを悪く言うことはしたくない。
けれど、仕事というものはやっぱり、「ワンチャンス」じゃないか?
その店に圧倒的な優位性があれば、少々の失点なら許せて「次」もある。
でも、多くの店(あるいは商品、サービス)には、似たようなポジションのライバルがいて、何かのきっかけでそちらに乗り換えることは珍しくない。
だから、仕事は一回一回が真剣勝負であるべきだと思う。

余談だが、このnoteの画像は、後日行った茅場町のバルで撮ったものだ。
その小さなお店も、当日予想外の来客で多少待たされたのだけど、この肉のプレートを食べたとき、小さなことは全部許せた。
勝負には、ワンチャンスで逆転KOできることもある。

今週のいちばん、「ワンチャンス」のプレッシャーを味わった瞬間。それは1月28日、新宿の居酒屋チェーンを足早に出た瞬間です。

*「今週の、いちばん。」は、その1週間で僕がいちばん、心が動かされたことをふりかえる連載です(下の「このマガジンに含まれています」のリンクから全部の記事が読めます)

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