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わけのわからないビールたち

長らく続く世界的なビールブームの中で、頭のおかしいブルワーらによって、わけのわからないビールが、次々と生み出されている。
既存のビアスタイルには分類できない、エクストリームでエクスペリメントなビールは、ビアギークたちを歓喜させるのだ。

そんなビアギークを喜ばせるわけのわからないビールを、飲んだことがあるものも、ないものも、知りうる範囲で、備忘録的に書き残しておこうと思う。

Nøgne Ø Red Horizon(ノルウェー)
日本酒酵母(真澄の七号と九号)で醸したダークストロングエール。
日本酒の香りがするビールというか、大麦で造った日本酒というか。
ボトリングされてから長いこと置かれていたものを飲んだので、メイラード反応が進んでおり、醤油や紹興酒めいた香りがしていたが、おかげでだいぶ円やかであり、甘くて美味しかった。
1editionと2editionを飲んだ。
シリーズは3editionまであり、それぞれが1バッチ限定のため、もう手に入らない。

Mikkeller 1000 IBU(デンマーク)
名前そのままIBUが1000もあるインペリアルIPA。
わりとよく見かけるが、飲んだことはない。
もはや「苦い汁」としか認識しようがないレベルの苦みと思われる。が、飲んだ人は「苦いばかりではなく、IPAらしいモルティを感じる」と口を揃えて言う。本当か?
ちなみに一時期このビールが世界で最も苦いビールだったが、いまやIBU2600のビールがあるようだ。

LoverBeer BeerBera(イタリア)
麦汁に皮ごとプレスしたバルベラ種の葡萄とホップを加えて自然発酵させ、オーク樽で熟成したサワーエール。
ビール酵母は使っておらず、葡萄の果皮にいる天然酵母(ボトリティス・シネレア)で醸している。
麦汁とホップは使っているが、造り方はワインのそれ。
これはビールなのか? 生産者のロベールさんはビールだと言っている。
ランビックに似たクセのある発酵臭、甘い樽香、赤ワインのような酸味と甘み。
たぶんまだ造っている。サワーエール好きは飲むといい。

Brewmeister Snake Venom(スコットランド)
ABV67.5%の世界最強ビール。アイスボック(凍らせて水分を除去)しまくってアルコールを濃縮したらしい。
このビールがアルコール度数合戦に終止符を打った。
去年だか一昨年だかに千葉県柏市の某ビアバーに数本あった。
飲みそびれたのが悔やまれる。
今はもう造ってないっぽい。

Ducato Brett Peat Daydream(イタリア)
ピーテッド・モルトを使ったバーレイワイン、スコッチの樽で熟成したラオホ、ブレタノマイセスで醸したサワーエール、の3つをブレンドしたビール。
ブレンドのベースとなるビール3種も、その1つ1つが油断ならないエクストリームっぷり。それをブレンドしてしまうのだから正気とは思えない(大絶賛)。
その名の通りブレットの山羊臭とピート由来のフェノール臭が混じりあったむせるような香りと、甘味苦味酸味が混じりあった複雑怪奇な味わい、飲み下した後のラオホ由来のスモーキー。
変態しか喜ばない狂ったビール。

まだまだ他にも、クソ甘ったるいアメリカンなドーナツをコンセプトにしたのや、ベーコンだのシュリンプだのを入れたのや、ウイスキーをブレンドしたのや、いろいろあったと思うが、思い出したり調べたりが面倒なので、いったん終わる。
そのうち書き足すかもしれない。

あああー、ビールが飲みたい。飲めない。

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