もくもくと。


皮膚呼吸、すって吐いてを繰り返し、微細な空気の粒子と触れ合ううちに、感じとるあらゆる些細な、硝子の破片みたいな。小さな小さな心の引っかかりは、サラサラと流れ去ってゆく。誰も救っちゃくれないよ。今日もまったく言葉が重い。思うように流れてくれない。つやつやの丸々太った白い幼虫が吐きだす繭玉の糸は、ふわふわとした絹のにこげをただよわせて、シューっと虚空にひきこまれてゆく。細い糸の描く軌道は、そのまんま、とおくとおく、星の最果てまでいってしまいそうで、なんだか寂しい。ちっぽけなひゅーまん・びぃんぐよりも、昆虫は偉大な哲学者。言葉なんていらない。柔らか白い体と体液のいっぱい詰まった細胞壁と、あとは成虫になって、ささやかなレーゾンディテルを果たせば、それが全て。

できることなら草木になりたかった。虫になりたかった。でも、いまさら仕方ないので、とりあえず、寝転んでスマホしてドピュっとして寝る。

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