恋と執着
きっと
酷いのだから泣いたっていいのだろう
でも別に
保証された関係でもない
周りが
2人の関係を疑う噂を
彼は楽しんでいた
私は別に
周りの噂なんて
どうでもよかったけれど
今噂もされなくなって
気にもしなくなったら
面白くも無くなったのだろうか
12月に入ってから
一度も部屋に呼ばれていない
最後に呼ばれはのは
部屋に奥さんとお母さんが来た
その次の週に一度
その時に気がついた
お風呂の排水溝を掃除するブラシに
黒い髪の毛が絡みついていた
私が悪い
お風呂を借りた時に
流したままにしていた
あのブラシを使って
掃除をしたのは
きっと
奥さんだったのではないか
彼がしたのなら
その髪の毛も
取って捨てるだろう
彼は髪が短いし
ほぼ白髪なので
黒い長い髪の毛は
犯罪的にインパクトがあるだろう
私はそのブラシを見て
時が止まったのを覚えている
やめた方がいい
と思うのであれば
それでもいい
仕方がない
そもそも不倫なんて
しないほうが良いのだから
でも都合よく繋ぎ止めるとして
なら
日々私の気持ちが
拘束されて良いなんてことはない
私は
離婚して自由になるのだから
時が来たら
聞けるだろうか
焦って聞くことはしない
この関係は
蔑ろに終わらせることが
どれだけ危険を孕むか
私もわかっている
そして
何より
私はもう
彼のことが好きと
違うと思わせようと
納得させようとしているけれど
気がついている
彼の弱さや強さや
いろんな迷いと
その
計り知れない努力と
この人の人生を
もっと見ていたいと思う
そんなに簡単に
変わりを見つけられるような
そんな人じゃない
分かってる
だから
待とう
と
…
そう思いながら
なぜか精神が
泣いていて
仕事が忙しいからなのか
彼との関係のことなのか
どちらも
彼が主体だから
尚更
意味がわからない
甘えられない上司と
甘えたい相手が
同じ
こんなアンバランスなんて
あり得ない
…
なんで私は
こんなアンバランスな橋を
渡ることになったのだろうか
そしてこれは
私の運命だ
…
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