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国立大学の学部増設の形態 東京外大

前回は

 国立大学の中で、単科大学は以前は多くありました。近年の再編で、総合大学と合併するケースが増えますが、独自に学部を増設して、単独で生き残りを探る大学も現れます。東京外国語大学はその一例です。

単科大学からの再編

 東京外国語大学は、新制大学設立時には外国語学部のみの単科大学でした。
 平成24年に外国語学部の時に行われていた各種言語別による教育体制は引き継いだままで、3年次以降の専門教育の違いにより、言語と文化に焦点を当てた言語文化学部と、地域社会研究と現代世界、国際関係に焦点を当てた国際社会学部に再編します。
 平成31年には、国際社会学部の日本語に関係する部門を独立させ、国際日本学部を設立しました。

言語文化学部について

 言語文化学部では、英語などの28言語を初期の専攻として学びます。3年次以降は、初期に専攻とした言語を基礎に、世界の10の地域にコース分けされて、言語学や文学などの主に文化の面から教育研究する事になります。また、地域を超えた言語に関する教育研究を行なうコースもあります。

国際社会学部について

 国際社会学部では、13の地域が所属の単位になり、地域別に特定の言語に配属され、初期はその言語について学びます。言語文化学部は言語自体がが所属の初期の単位になっているのに対して、国際社会学部は、あくまで地域が所属の単位となる点が違いです。3年次以降は、所属地域を政治・経済・社会の面から教育研究する事になります。

国際日本学部について

 国際日本学部では、英語と日本語を基礎単位として、留学生と共に日本について総合的に学びます。他大学の国際教養学部に似た形態です。

独特の再編の形態

 一般的な学部の増設は、ある学科などを独立する事で行われる事が多い中で、東京外国語大学は、言語単位での米英学部やヨーロッパ学部などの独立ではなく、多言語の研究教育の形態は統一したままで、専門とする分野の段階が言語や文学などの文化面か、政治や経済などの社会面かで学部を分離するという特異な増設を行ないました。前例がないので、その制度構築には大変な苦労があっただろうと思われます。

 学部の増設の形態は、近年様々なパターンが現れてきています。単科大学が複数の学部を有する大学に改変する例として、東京外国語大学は特異なケースですので、今回単独で取り上げました。

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