《Infinite Oz》[2007]

てのひらのなかの無限

《Infinite Oz》は2007年にsci-fi channelの《Tin Man》のプロモーションとして制作されたコンテンツである。オリジナルは進行速度や方向を変えられるAdobe Flashを用いたインタラクティブコンテンツであったが、現存しているのはこのYoutube上の動画のみである。拡大していくと新たな絵が現れるZoomquiltと呼ばれる手法を用い、オズの魔法使いの冒頭のシーンであるカンサスの風景や、80年代サイバーパンク風のアジアの都市、サクロボスコの地獄の口を思い出させる門などさまざまな世界が無限に続いていく。以前に紹介した榊原澄人 《E in motion No.2》が絵巻物から着想を得た水平方向の無限ならば、この《Infinite Oz》は奥行方向の無限である。
この《Infinite Oz》を携帯端末で体験していると自分の掌中に無限が広がっているような感覚を覚える。Damien Hirst《Idolatry》についてのnoteでは、遠くから見た場合と近寄って見た場合を使い分けられるといった実体のあるアートのiARTに対する優位性について触れたが、iARTにはこの「掌中」というのが得口調的な身体感覚として持ちうることに気がついた。絵画が主体である鑑賞者と客体であるアートが峻別されて向かい合い、インスタレーションでは主体が客体の中に入り込むの対し、iARTでは主体の中に客体が収まる一体感があるのではないだろうか。

--メタノート--
オリジナルのサイトが既に存在しないため、以下などを出典としています。
https://oz.fandom.com/wiki/Infinite_Oz

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?