田丸琢

◇40歳ハンコ屋経営/3児の父/ ◇大手ITベンターから京都のハンコ屋に転職 ◇印章製…

田丸琢

◇40歳ハンコ屋経営/3児の父/ ◇大手ITベンターから京都のハンコ屋に転職 ◇印章製作/彫刻デザイン/ソリューションセールス/ ◇活動:shopifyで越境EC/アナログ文化継承 ◇https://tamaru-online.com/

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  • IT出身の老舗ハンコ屋が語る「ハンコ不要論」

    IT業界(デジタル)とハンコ業界(アナログ)の事を一定程度、理解した上で語る今回の「ハンコ不要論」。 色々と思うところがありますし、両極端の業界を経験したからこそ、見えてきた両者のメリット・デメリット。 デジタル業界の方には、ハンコを中心としたアナログ文化の知識を。 アナログ業界の方にはIT業界の仕組みとその得手不得手の知識を。 大人の教養として、持ち帰っていただけるように注意して執筆していきます。

最近の記事

【2-4】アナログとデジタル、どっちが安全?(本人認証編2/2)

安全とはなんでしょうか? 本人認証における「安全性(セキュリティ)」とは、最も代表的なものは「なりすまし」による不正アクセスが代表的でしょう。 ハンコの場合は、物理的に「ハンコ」又は「印鑑証明書」が偽造されて、借金の連帯保証人になってしまったり、相続時に揉めたりする事が考えられますね。 デジタルの場合も同様に、ある人が別の人を詐称してシステムを利用したり、第三者とコミュニケーションしたりする事で、様々なトラブルにつながってきます。 ただ、デジタルの場合はアナログにはない

    • 【2-3】ハンコはなくせるのか/ハンコ屋自身が考えてみた(本人認証編1/2)

      「実印」「印鑑証明」とか、仕組み自体、良く分からない。 そもそも ・親ハンコ貰ったけど、まだ一度も使ってない。 ・家や車を買う時に業者さんに言われて数回使った このような方、案外多いのではないかと思います。 また、 ・脱ハンコになったら、実印とかもなくなるんでしょ? ・電子化したら何か不都合があるの? こうした疑問にもお答えしつつ、意外と知られていない、デジタル化の盲点などについても、この記事を読んで覚えていただければと思います。 認印を使う「意思の確認編」はこちら

      • 【2-2】 ハンコはなくせるのか?(意思の確認編)

        結論:社会がデジタル化のデメリットを許容する場合、撤廃することが可能!しかし一方で・・・ 第一章のハンコ文化とサイン文化の比較はあくまでもアナログ文化の比較でした。 これは一長一短があり、優劣をつけるのは困難でした。 ではデジタルとの比較ではどうでしょうか? ここでは、アナログ文化を用いた認証の仕組みと、デジタル技術を用いた認証の仕組みを簡単に比較してみたいと思います。 これまで出てきた以下の2つのハンコの使い道の内、ここでは「②意思の確認」について、電子化が可能かどう

        • 【2-1】ハンコ不要論の根っこ

          では、話を現代のハンコの使われ方に戻します。 ハンコには2種類の使われ方があるとこれまでの記事でお伝えしてきました。 (おさらい)--- ------- ハンコ不要論、実は「①」について語られる事は多くないんです。 不要論の多くは「②」について叫ばれます。 「役所でハンコがないと受理できないと言われた」 「ハンコが手元にないので会社に出社しないといけない」 「100円ショップで売ってるのを押すことに何の意味があるの?」 これらはある意味、当然の意見です。 世の中がど

        【2-4】アナログとデジタル、どっちが安全?(本人認証編2/2)

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        • IT出身の老舗ハンコ屋が語る「ハンコ不要論」
          10本

        記事

          【1-6】私が『ハンコ文化VSサイン文化』が「引き分け」だと思う理由…

          サイン文化への理解をチェックしてみましょう日本におけるハンコの変遷は理解しましたが、諸外国のサイン文化との比較を最後にしておきたいと思います。 これまで、 ・日本のハンコ文化は世界的にめずらしいというお話 ・日本も昔はサイン>ハンコだったお話 ・ハンコの役割のお話 ・ハンコかサインかの大激論が巻き起こったお話 というお話をさせていただきました。 この中で日本においても、サインは身近にあった文化だという事だったという事がご理解いただけたかと思います。 一方ここでは、日本

          【1-6】私が『ハンコ文化VSサイン文化』が「引き分け」だと思う理由…

          【1-5】ハンコにも『明治維新』があった!?

          前回、江戸で庶民、とりわけ町人の間でハンコが広まったとお話しました。 (まだ見られていない方はこちらからご確認ください) その後、現代に至るまでハンコは使われ続けるのですが、実はほんの少しパワーバランスが違ったら日本も欧米同様に「サイン文化」になっていたかもしれないんです。 今回はそのお話をしていこうと思います。 時は明治初頭、日本社会の大転換がはかられた後、ハンコVS署名(サイン)の大激論が巻き起こったんです。 経緯をざっくり言いますとこうです。 a.「これまで花押(

          【1-5】ハンコにも『明治維新』があった!?

          【1-4】戦国武将の”イケてるハンコ”と江戸時代での”ハンコ大爆発”!

          過去の投稿でも戦国武将が印判状を用いる事でハンコが再度、使われ出したということでした。 実際の武将達のハンコを見てみましょう。 それぞれの印はそれぞれの武将の個性がその言葉や形状に出ているように思いませんか? 戦が活況だった①~④の時代では、龍や寅といった「強さ」を象徴するような印を作られています。その後、天下が統べられた⑤⑥では、実用的で比較的地味な印になっています。 このようにハンコというのは、その「時代」や「人の個性」を色濃く表した道具だと私は思います。 また、戦

          【1-4】戦国武将の”イケてるハンコ”と江戸時代での”ハンコ大爆発”!

          【1-3】ハンコって何の目的で使っているの?

          唐突ですが、問題です! 答え: … …… ……… 1.本人が( 本人 )であることを証明するため 2.本人の( 意思 )を表示するため 皆さん正解できましたでしょうか? それでは、現代の印鑑の使われ方の前に、過去の日本での使われ方を見ていきましょう。 奈良時代の官印は「内印」と「外印」に分けられ、前者が天皇の印である「天皇御璽」、後者は前々回にも示した「太政官印」でこれは政府の印となります。 そして「内印(天皇の印)」は五位以上の位記に捺し、六位以下の場合は「外印」

          【1-3】ハンコって何の目的で使っているの?

          【1-2】戦国武将がハンコを復活させたお話

          なぜ再びハンコは復活したの?結論:花押を書くのが面倒だったから!? 前回のお話の中で、日本の認証史では「サイン(花押)」に置き換わっていた時期があったというお話をしました。 でも、一度衰退したはずの「ハンコ文化」が再度、復活することになりました。今回はこちらのお話です。 このハンコ復活の背景には、日本のハンコ史でいう④の時代における、 "2つの理由"が影響しています。これを見ていきましょう。 ③と④の間の時代というのは、日本の歴史の中でも苛烈を極めた時代、そう”戦国時

          【1-2】戦国武将がハンコを復活させたお話

          【1-1】なぜ日本はハンコ文化になったのか?

          【正解】 B.です。 B.では10か国としましたが、実際には「3か国」です。 ハンコを使っているのは日本だけ?日本以外で採用している国は、台湾・韓国で実用的にハンコが使用されています。 案外知らない方も多いようです。貴方はご存知でしたでしょうか? ちなみに、台湾は一般的に正方形の角型が主流です。 これは台湾人が夫婦別姓が多いという点と、フルネームの文字数が日本の「4字」と異なり、「2字、3字」の方が多いという点が影響しています。 一方韓国では日本と同様に円形の印鑑が

          【1-1】なぜ日本はハンコ文化になったのか?

          【序章】ハンコは必要か否か?

          今回のパンデミックにより自宅勤務を余儀なくされた方も多かったかと思います。その中で巻き起こった「ハンコ不要論(脱ハンコ)」。 勇気を出して、結論から申し上げます。 私は「ハンコは不要」だと思います。 業界人として、かなり思い切った発言ですので、当然のように反発があることを予想しています。 それでも今回の不要論について、いち「ハンコ屋」としての意見を正面からぶつけることは、現代を生きる人々にとって有意義なことではないかと考えて今回の記事を書くことに決めました。 この結論に至

          【序章】ハンコは必要か否か?