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日本での進行性・再発性グリオブラストーマに対するDCVax-Lの奏効性に関する臨床試験を行う重要性

Liau博士らは、臨床研究で、 標準治療(SOC)(テモゾロミドなど)のみを受けた患者の同時期の対応する腫瘍と比較して、SOCにDCVax-Lを追加する治療を受けた新たに診断された膠芽腫(nGBM)と再発性膠芽腫(rGBM)の患者の生存期間が、臨床的に有意義で統計的に有意に延長したと報告した。

日本において、グリオブラストーマに対する治療で、第一選択薬として、アバスチン(抗hVEGFモノクローナル抗体)が、推奨されている。その後、ランダム化比較試験において、グリオブラストーマに対するテモゾロミド(temozolomide)と放射線照射との併用療法と維持療法の奏効性が認められため、テモゾロミド化学療法が広く行われるようになった。しかし、テモゾロミド化学療法による延命効果は、限定的である。

2019年12月から2023年04月までの期間で、日本の国立大学の癌ゲノム医療において、合計2991例に対する治療法が、癌ゲノム検査(Ncc oncopanelでの検査:679例、F1CDxでの検査:2312例)によって検討された。日本人の小児の患者を含めた合計43例の進行性グリオブラストーマと再発性グリオブラストーマに対する治療法が、癌ゲノム検査によって検討された。癌ゲノム検査の結果、進行性・再発性グリオブラストーマ 32症例において、ATRX pathogenic variantが認められた。しかし、ATRXは、染色体リモデリング因子の1つであり、ATRX pathogenic variantsに対する抗腫瘍薬が開発されていない。

日本では、進行性・再発性グリオブラストーマに対するDCVax-Lによる治療は、厚生労働省によって承認されていない。Dr. Liau et al.によって報告された進行性・再発性グリオブラストーマに対するDCVax-Lによる治療法の奏効性の結果は、日本での進行性・再発性グリオブラストーマに対する治療法に大きな影響を及ぼしている。日本人の進行性・再発性グリオブラストーマに対するDCVax-Lによる治療法の奏効性を明らかにするために、今後、日本においても、大きなコホートによる臨床研究が行わなければならない。

膠芽腫は、悪性の脳腫瘍の一種で、グリア細胞から発生する。非常に未熟で成長速度が速いため、最も悪性の腫瘍とされる。内部に壊死巣が見られる事があり、出血を引き起こすことが多い。腫瘍細胞は様々な形をしており、大きさも異なる。

We do not have potential conflicts of interest.

Published in JAMA Oncology on June 5, 2023, by 京都@takumaH

がん医療専門ドクター・新興感染症専門ドクター

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