問題提起を条文の文言に引き付ける


【1】司法試験における法の解釈・適用

 司法試験では法律の適用が重要になりますが、法の解釈は手段は法を適用するための手段に過ぎません。「法」の基本は「条文」です。問題文の事実に条文を適用して結論を導くのが(事案解決型の)司法試験問題の最大の目的であると言っても過言ではありません。そのため、答案を書く際には、「事実に条文を適用」することを強く意識する必要があります。

【2】問題提起が不要な場合

 司法試験においては要件・効果的発想は所与のものとして扱われます。例えば、ある訴訟物たる権利関係が認められるか否かを検討する際には、当然、請求原因(事実)たる事実が認定されなければなりません。ここまでは所与のものとして扱われますから原則として問題提起は不要です(例外的に、訴訟物と通常の請求原因(事実)がダイレクトに結びつかない場合は問題提起とは言わなくとも主張の骨子を示す必要があります)。また、例えば、犯罪の成否を検討する場合、検討罪名にかかる犯罪が成立するためには、構成要件事実が認定されなければなりません。やはりここまでは所与のものとして扱われますから原則として問題提起は不要です(例外的に、構成要件の内容が問題となる場合には問題提起をすることもありますがよほど学説対立が激しいものを除けば淡々と要件を示してあてはめれば足りるはずです)。このように所与のものとして扱われる発想については問題提起は原則として不要なのです。理由は、「論理の飛躍」が生じにくいからです。

ここから先は

1,165字

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?