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「文章力で勝負する」司法試験指導のTakumi Aikawaです(司法試験論文総合16位・公法系1位)。BEXAやオンラインロースクール等で受験指導をしております。

最近の記事

司法試験中級者から上級者へのステップ

この記事では私が司法試験の中級者から上級者にステップアップする際に行った勉強法で特に有効だったと思われるものをshareしたいと思います。なお、ここでは中級者(基本事項のインプットを終え短文事例問題の解答筋を概ね暗記している状態)、上級者(司法試験レベルで合格ラインに乗る状態)というイメージで説明をします。

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    • 特定判例に対する言及が求められた場合

      司法試験では特定判例に対する言及が求められる場合があります。その際に当該判例を知っていれば問題はありません。問題は当該判例を知らない場合です。そのような場合に「判例を知らないからお手上げだ」とならないようにするために日頃から対策を考える必要があります。 【1】受験生の多くは判例を説明することはできない まずは相場観を把握しておくことが大切です。受験生の多くは特定の判例を指定されてもその内容を説明することはできません。受験生の頭の中には複数の判例を踏まえた体系化されたひとまと

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      • 【行政法】行政裁量の主張反論問題

        司法試験の行政法では行政裁量がかかわる場面で両当事者の主張を対立させ、私見を述べる問題が頻出です。このタイプの問題は必然的に論述量が膨れ上がる傾向にあるため、あらかじめ書き方の戦略を固めておく必要があります。この記事では行政裁量の主張反論問題の書き方の例を説明します。 【1】判断代置と行政裁量行政処分の取り消し訴訟を考えてみます(行訴法3Ⅱ)。本案勝訴要件は、当該処分が法令に反すること(比例原則や平等原則といった一般原則に反することも含みます)です。いわゆる判断代置とは裁判

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        • 【憲法】比較衡量論の使い方

          自由権規制パターンにおける判断枠組みには大きく【A】違憲審査基準論と【B】比較衡量論とがあります。判例には【B】を用いたとされているものも少なくないですが司法試験との関係では【A】が妥当する限りにおいては【A】を用いるのが得策であると考えます。そこで【B】を使いうる場面とその使い方について概説したいと思います。 【1】違憲審査基準論と比較衡量論との関係 比較衡量論は人権規制により得られる利益と規制される人権とを比較衡量して人権規制の合憲性を判断する考え方です。具体的な事実を

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          芦部憲法概説講義

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          芦部憲法概説講義

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          平成29年行政法再現答案解説

          この記事では平成29年行政法(公法系第2問)でどうして私の答案に高得点がついたのかその点を分析していきます。 第1.設問1. 1.小問(1) (1)Xらが提起すべき抗告訴訟  Xらは、Y市を被告として(行政事件訴訟法(以下、行訴法)38条1項、11条1項1号)、本件フェンスの「除却」命令(法71条1項1号)の「義務付けの訴え」(行訴法3条6項1号、37条の2第1項)を提起すべきである【※①】。 (2)訴訟要件を満たすか ア、本件フェンスの「除却」命令は公権力の主体たるY市が

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          平成29年行政法再現答案解説

          断定を伴う/仮定を伴う問題提起

          事実を使って問題提起をすると説明されることは多いですが事実を使って問題提起をする場合であっても事実認定において断定を伴う場合とそうでない場合(仮定を伴う場合)とがあります。しかし受験生は思いのほかこの点を意識できていません。この記事では断定を伴う問題提起と仮定を伴う問題提起について説明します。 1 断定を伴う問題提起「Yは平成○年○月○日にX方に本件動産を持参しているところ、本件債務を弁済したといえるか。」 YがX方に本件動産を持参したという事実について断定して問題提起を

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          断定を伴う/仮定を伴う問題提起

          問題提起を条文の文言に引き付ける

          【1】司法試験における法の解釈・適用 司法試験では法律の適用が重要になりますが、法の解釈は手段は法を適用するための手段に過ぎません。「法」の基本は「条文」です。問題文の事実に条文を適用して結論を導くのが(事案解決型の)司法試験問題の最大の目的であると言っても過言ではありません。そのため、答案を書く際には、「事実に条文を適用」することを強く意識する必要があります。 【2】問題提起が不要な場合 司法試験においては要件・効果的発想は所与のものとして扱われます。例えば、ある訴訟物た

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          問題提起を条文の文言に引き付ける

          伝聞法則における伝聞非伝聞の判断

          伝聞非伝聞の判断を苦手にしている人は多いです。この記事では、伝聞法則における伝聞非伝聞の判断のポイントを説明していきます。 1 伝聞法則の規範の意味「伝聞法則(320条)の趣旨は,供述が知覚・記憶・表現叙述という類型的に誤りを含みやすい過程を経ることから,反対尋問等についてその内容の真実性を吟味できない場合にその証拠能力を否定することにある。  そこで,①公判期日外の供述につき,②要証事実との関係で内容の真実性が問題となる場合には,伝聞証拠にあたると解する。」 伝聞法則の

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          伝聞法則における伝聞非伝聞の判断

          反対説を意識した理由付けの書き方

          今日は反対説を意識した理由付けの書き方についてお話します。 【1】理由付けで反対説に触れるべきか 私個人の意見として、時間が限定されている司法試験の現場で反対説に言及することは極力避けるべきだと考えています。反対説を書こうとすると、これに対する再反論も書かなければならず結果的に文字数が大幅に増えます。よほど特殊な事情がない限りは、反対説には言及せず、自説をサポートする端的な理由付けを一言添えるにとどめるという直線的なロジックを採用することをお勧めします。 【2】論述で反対

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          反対説を意識した理由付けの書き方

          犯罪の区別(R元年刑法設問1を参考に)

          刑法の答案で「●●罪と●●罪の区別が問題となる」という書き方をする方をよく見ます。このような答案は一見すると問題の本質をよくとらえているように見えますがリスクを伴う書き方でもあります。 【1】検討すべき罪名を絞り込むリスク 例えば、強盗罪と恐喝罪のいずれを成立させるか迷った場合に、「暴行又は脅迫」(236条1項)該当性のみを争点として強盗罪の成立を否定して恐喝罪を検討することがあります。しかし、実は、強盗罪が正解筋として想定されていた場合、強盗罪の他の構成要件要素の配点を全

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          犯罪の区別(R元年刑法設問1を参考に)

          適用違憲の書き方

          H28年以後の司法試験ではいわゆる司法試験的法令違憲のみが出題されています。しかしH27年以前は、いわゆる司法試験適用違憲(法令が合憲であることを前提に法の適用の合憲性を検討する問題)が出題されていました。今日は、この「司法試験的適用違憲」についてどのように対処すべきかについて説明します。 【1】処分や刑罰の根拠条文が存在する場合  この場合は、条文の文言解釈を行う形で憲法論を展開します。自由権規制パターンの場合には、権利の性質と規制の態様を考慮した上で条文の文言を限定的

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          原告適格(行訴法9条1項)の論じ方

           苦手な人が多いこの論点ですが一度理解してしまえばそれほど難しいことはありません。今日は原告適格の論じ方についてざっくりと理解してみましょう。 【1】原告適格を論じる実益  原告適格が問題となるのは処分の名宛人以外(第三者)が取消訴訟の原告となる場合です。処分の名宛人は処分の取消訴訟において当然に原告適格を有しますが、処分の名宛人以外はそうではありません。そこで、処分の名宛人以外が原告となる場合には、「原告は、本処分の名宛人ではないため、9条2項に従って判断する」というよ

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          要件事実知識の示し方とその注意点

          司法試験の民法といえば「要件事実」ですがいわゆる要件事実知識の使い方を正しく押さえている人は多くはありません。今日は要件事実知識の使い方についてお話ししたいと思います。 1 要件事実とは何か  正確な定義ではありませんが、実体法上の要件について①事実部分のみを②両当事者の主張立証責任として分配するための概念であるというように理解しておけばよいでしょう。ここでのポイントは①です。要件事実はあくまでも「事実」です。そのため「事実」以前の議論(そもそもそのような請求や抗弁が成り

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          2種類の「確かに~しかし」構文

           司法試験・予備試験の世界では「確かに~しかし」構文が有名です。しかし、この構文に実は2種類の使い方があるということはあまり意識されていません。今日は、2種類の「確かに~しかし」構文についてお話をしてきたいと思います。 1 「確かにAしかしB」(AとBが両立しない場合) 【例文】確かにYの行動はよくない結果を招いたのであるからミスであるとも思える。しかし、Yの行動は規則を守った結果であるからミスではない。  この場合、「Yの行動は・・・ミスである」(A)と「Yの行動は・

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          2種類の「確かに~しかし」構文

          問題文の事実から規範を立てる手法

          司法試験の問題には「現場思考論点」と呼ばれるものが登場します。この「現場思考論点」では受験生の皆さんが現場で「法律論」を組み立てて問題を解決しなければなりません。この記事では「法律論」を組み立てる際のコツをお話したいと思います。 【1】 「法律論」とは何か受験生にとってなじみの深い「法律論」は「条文の適用関係を示す」ことだと思われます。「条文の適用関係を示す」ことを実践するための効果的な手法は「規範を定立する」ことです。もちろん、問題文中の事実を総合考慮した上で条文を適用す

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          問題文の事実から規範を立てる手法