原告適格(行訴法9条1項)の論じ方

 苦手な人が多いこの論点ですが一度理解してしまえばそれほど難しいことはありません。今日は原告適格の論じ方についてざっくりと理解してみましょう。

【1】原告適格を論じる実益

 原告適格が問題となるのは処分の名宛人以外(第三者)が取消訴訟の原告となる場合です。処分の名宛人は処分の取消訴訟において当然に原告適格を有しますが、処分の名宛人以外はそうではありません。そこで、処分の名宛人以外が原告となる場合には、「原告は、本処分の名宛人ではないため、9条2項に従って判断する」というように、一言説明を加えます。

【2】(第三者の)原告適格の論じ方

 原告が主張すると想定される被侵害利益との関係で処分の根拠法規が当該利益を個別的利益として保護されることが必要です。処分の根拠法規の解釈は①被侵害利益を保護していない②被侵害利益を保護するが個別的利益として保護する余地はない③一定の場合に被侵害利益を個別的利益として保護する趣旨を含むの3つの類型に分かれます。③の場合にさらに原告が「一定の場合」にあたることが認められれば,原告適格が肯定されます。
検討手順は以下の通りです。
ⅰ).処分の根拠法規が被侵害利益を保護する
   被侵害利益の特定
   処分の根拠規定の指摘
   処分の要件規定等他の規定を指摘
ⅱ).処分の根拠法規が一定の場合に被侵害利益を個別的利益として保護
ⅲ).原告が一定の場合にあたる

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