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気化した思考法とAI

人工知能の父と呼ばれているらしいマービン・ミンスキーの”脳の探検”を読中。まだ読中ではあるが本書の基幹となる”思考素”という考えが面白く、先述の熱力学に関する自分の考察にどこか親和性を感じたので、備忘として書いておきたいと思う。

思考素と呼ばれる個別の要素が脳内に点在しており、感情は思考素を回路が囲むことで生まれるというもの。実際の脳内がこのように作られているという話ではなく、思考をシステムとして理解しようとした時に、これを考え方の基盤にしようというもの(なのだと思う)。

従来の心理学や精神分析が感情などを固形化していたと著者は言う。この考え方は固形化と言うよりはむしろ、思考が気体化しているように私には思える。従来が物理学的だったのに対し、こちらは熱力学的に思考全体を見渡すことができる。

無意識を発見したフロイト はとても偉大だが、現実と現実に抑圧される無意識という対立構造が生まれているのは、思考素が固形化しているように見えるし、もしくはマクスウェルの悪魔が思考素を仕分けでもしているようだ。固形化した概念に囚われず、思考素を気化させて頭の中を空虚化し、熱力学のように思考を捉えるのは、どこか禅や老荘思想にも通じる気もしている。ただし、ここまでは私の漠然とした私見で本著では触れてはいない。

本著では、思考素と回路の考え方を元に、思考をシステムとしてモデル化していく。まだ全部読んでいないので壮観を述べることはできないが、本著の導入部分を読んだだけで、つい妄想が膨らんでしまった。