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「タモリ倶楽部」終了

「タモリ倶楽部」が今夜の放送でついに最終回を迎える。
1982年10月スタートだから、実に40年半の歴史を誇る超長寿番組。タモリさんがお元気なうちは「徹子の部屋」のように続くものだと思っていたので、先月の突然の終了報道には少なからず動揺したが、同時に、やはりすべてにおいて「永遠」というのはありえないのだと痛感した。最近はそう感じることがやたら多く、あと1週間で還暦を迎えることもあり、淋しさもひとしおである。

私は番組開始当初からの視聴者ではなかったが、原田芳雄氏をゲストに迎え、千葉の小湊鉄道に一日体験入社した回(こういった鉄道回がやがて「タモリ電車クラブ」に発展する)を2004年にたまたま見て以来、趣味性をとことん追及したその番組姿勢にしびれ、鉄道回は必ず見るようになり、「タモリ電車クラブ」が結成された2006年以降は、それ以外の回も視聴するのが慣わしとなり、同時に、主だった回は録画保存して今日に至っている。番組終了にあたり、録りためたDVD、ブルーレイディスクを数えたら40枚、番組数は360を超えていた。

当方が所蔵している最も古いDVDの最初の1本は、東出有輝氏(元芸能プロマネージャー。現在は東京メトロ社員)の持込み企画「東出マネージャーと聖地巡礼・KATOを一日周遊」(2006)。

今回、改めて2000年代放送のものを何本か見てみたが、やはり今の数倍面白い(難解な医学用語、ゴムヘビ、勝手に観光協会ご当地ソングファイナル、等々)。
ここ数年は、コロナの影響でロケができなくなっていたのも災いしたと思うが、それ以前から、ひとかどの趣味人&教養人である山田五郎氏、みうらじゅん氏、泉麻人氏、渡辺祐氏といったサブカル系の出演者が徐々にフェードアウトし、それと相反するように、よくわからないお笑い芸人が進行を務めることが多くなり(これはディレクターの若返りも関係しているのだろう)、明らかに番組のクオリティが落ちてきていたように思う。ナレーターも武田広さんじゃなくなってしまうし…。空耳アワーも、コロナ以降は先週のような不定期のスペシャル扱いになってしまったが、あのコーナーは、毎週、番組の後半に、箸休めのように3分くらい差し込まれるスタイルでないとどうもしっくりこない。ネットの掲示板でも、
「空耳はスペシャルで垂れ流すより通常回で安齋さんのくだらない話をはさみながらの方が面白いんだな」
という意見があったがまったく同感である。

そんなこんなで、最近は以前のように、ときめきと熱情を以って視聴することはなくなっていたが、それでも、2/24と3/3の久々の鉄道ロケ回(ドクターイエロー)は、胸を躍らせて見ていた。やっぱり、いい大人が本気で趣味を満喫する様子は、はたで見てきても気持ちがいい。鉄道回は一時、鉄道の面白さをわからない芸人を進行役に立てたことがあったが(番組に一般人の目線を入れるためだったと思われる)、妙にしらけた雰囲気が漂い、ゲストたちもノリ切れず、結局、その試みは1度か2度で立ち消えになったと記憶している。
あるテーマについて、とことん楽しめ、深堀りできる人だけをゲストに呼ぶというのは、バランスを重視するテレビでは案外難しいと思うのだが、それが許されたのがタモリ倶楽部の鉄道回だったような気がする。ただそれ以外の回になると、最近は、本当に何もわかっていない、何も知ろうとしない素人以下の芸人が進行にしゃしゃり出て、その道の専門家を「いじる」ことが増えてきたため、観るのが辛くなることもしばしばだったが……。

何はともあれ、「タモリ倶楽部」は今夜が最終回。ここ10数年、ほぼ唯一といっていい地上波テレビ恒例視聴番組であったため、来週以降の空虚感は避けようもないが、とりあえず手元には概算360回分の動画が保存してあるので、当分はそれを見返しつつ、週末のリラックスタイムを過ごすことになるのだろう。

最近はやっていないが、このころはきちんとインデックスを記していた。

タモリさん、そしてスタッフおよび関係者の皆様、40年6ヶ月、本当にお疲れ様でした。いろいろ苦言も呈してしまいましたが、楽しい番組をどうもありがとうございました。最後の放送、楽しみに見せていただきます。

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