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動画配信サイトGYAO! 終了

前回は「タモリ倶楽部」終了のことについて書いたが、奇しくも同じ3月31日、2009年にスタートした動画配信サイトのGYAO! が、そのサービスを終了した。これもまた、何とも淋しい限りである。

GYAO! は無料配信サイトとは思えぬ豊富なコンテンツ(映画やアニメの本数は有料サイトに迫るものがあった)が魅力で、また、オヤジ層に向けた「昭和TV」などという、加齢臭が漂いつつも魅力的なチャンネルがあったりして、私などはかなりお世話になった。名作といわれる「ベンジャミン・バトン」も、今月になってからこのGYAO! で視聴したものである。

2007年スタートの「昭和TV」。この画像はRBB TODAYさんのサイト
https://www.rbbtoday.com/article/2007/06/20/42835.html
からお借りしました。

また、製作者の立場としても、拙作「凍える鏡」を2回、期間限定で配信してもらったことがある。1度めは2020年4月、まさに新型コロナ感染拡大による自粛期間真っ最中だったこともあり、思った以上に多くの方が、このGYAO! で「凍える鏡」を見てくださったようである。

凍える鏡 予告編

それから、これは余談だが、先々週だったか、朝起きがけにテレビをつけたところ、MXで「ぶらり探訪 珍湯たび」という温泉旅番組をやっていて、そのレポーターを務めていた祥子さんという女性が何故か印象に残り、ネット検索してみたところ、グラビアだけでなく、映画「D坂の殺人事件」(2015)の主演も務めていたこと、しかもそれがGYAO! で配信されていることを知り、31日のお昼に駆け込みで視聴した、なんていうこともあった。

D坂の殺人事件 予告編

「こともあった」などと書くとかなり前の出来事のようだが、実際にはおとといの話である。しかし、時はまたたく間に過ぎ去るもので、現在、GYAO! のサイトを開くと無常にも、

このような画像が表示されるだけである。

ツイッターもご覧のとおり。もはや、そんなものは存在していなかった如し、である。

世の中がネット主流の時代になって、こういう、「あまりにも余韻のない幕切れ」というものを目にする機会が増えてきたように思う。消え去ったものの痕跡を探そうとしても、Web上には、もはや何ひとつ残っていないという……。「1」(ある)か「0」(ない)かというデジタル的発想が社会に浸透したことの結果と言えばそれまでなのだが、これでは人間のメンタリティも、どんどんドライなものに変わっていくのだろう。それもまた、時代の流れか……、と、嘆息するばかりである。

【追記】
「幕切れ」といえば、先日の「タモリ倶楽部」の最終回であるが、これもまた「余韻のない幕切れ」になるのではないかと危惧していたのだが、番組の終盤でタモリさん自身の口から最後の挨拶が語られたのは何より嬉しかった。
「40年間本当にありがとうございました。皆様方の支持のおかげでここまで来ることができました。感謝してます」
と聞いた時には、思わず目頭が熱くなった。やはり締めくくりには、ささやかでいいから、何らかのセレモニーがあってしかるべきだと思う。

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