コスト意識の高さも徹底活用する
「ボトルネックはどこですか?」
「Aという工程です。」
「A工程の前には、いくらの仕掛品がたまっていますか?」
「そうですね、部品で100万円くらいです。すると100万円のお金が眠っているわけですね。」
「いや、眠っているお金はそんなもんではないはずです。その部品がまだボトルネックを通過できないせいで出荷できない製品は何個くらいですか?」
「1000個くらいです。」
「その製品は1個何円ですか?」
「10万円です。」
「すると、ボトルネックの前には10万円×1000個 = 1億円のお金が眠っていることになりませんか?」
「。。。。。」
「早速、あのボトルネックの工程を請け負ってくれる外注パートナーを探しませんか?」
「外注加工が数百万円かかりますよ!?」
「1億円の眠っているお金と比べて数%ですけど、それでもやる価値はないですか??」
「。。。。。」
「でも外注すると、コストが上がってしまいます。」
「ボトルネックにどのくらいのコストがかかっているかわかりますか?」
「そこにかかっている人員2人の給料と、機械を動かす光熱費とかでしょうか。。。多く見ても100万円でしょうか?」
「でもボトルネックの生産能力が、会社の生産能力を決めているんですよね?」
「それは、わかります。」
「そうすると、ボトルネックを動かすコストは、工場全体のコストと同じ価値があるわけですよね?」
「そう。。。ですね。」
「では工場全体の毎月のコストはいくらですか?」
「3000万円くらいです。」
「そのコストが掛かっているボトルネックの生産が追いつかなくて1億円のお金が溜まっているんですよね。それでも、数百万の外注加工費は高いですか?」
「。。。。。」
「ボトルネックが他の仕事に追われたりして1時間動かないと、どのくらいのコストがかかるかわかりますか?」
「先程の人員2人の給料と、機械を動かす光熱費の合計は100万円。これをボトルネックの稼働時間割った金額でしょうか。8時間で20日動いているとして160時間。100万円÷160時間は。。。6,250円でしょうか?」
「でも先程と同じように、ボトルネックを動かすコストは、工場全体のコストと同じ価値があるわけですよね?」
「すると、全体のコスト3000万円を160時間で割らないといけないのですか?」
「いくらになりますか?」
「1時間、187,500円。。。。。」
「何かあなたたちができることはありますか?」
「ボトルネックを動かしている人を助けます。」
☆ ☆ ☆
実際の企業プロジェクトでは、こんな質問の繰り返し。
常々思うのは、社員さんはコストダウンの意識が高い。
いや、それは部分最適だよ!それよりもお客様に価値を生むこと(MQ)だよ!と言ってしまうかも知れないが、
実際に工場を訪問すると「この持ち場で一日缶詰だったら、お客さんにも会ってなけりゃ、そりゃなかなか全体イメージって持てないよな」とわかる。その持ち場で最も効率を良くしたい、コストダウン・部分最適化したいと思う気持ちもわかる。
もっと言うと、コストダウンに大きなエネルギーを持っている。
そこで、
1.コストダウン意識の高さを逆に活用して
2.1つの目標にアクションが集まるようにチーム感を醸成し
3.協力が発生していくプロセスで目標の範囲を一歩づつ広げ
4.それで実は儲け・価値(MQ)も上がったということを喜んで共有し
5.ついには社外のお客様を目標としてチームで価値(MQ)を生む
こんなステップをたくらむわけである。
TOCのシミュレーションゲームを1回や2回やったからと言って、会社の環境が変わったわけではない。
まずはゲームで上記の計算をしてみて、リアルの数字で一緒に考える。
社員さんがエネルギーを持つところを徹底活用して、社員さんたち自身で環境を変えるようにお手伝いする。
そのための第一ステップとして、「ボトルネックの本当のコスト」を一緒に考えることは非常に有効である。
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