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HARF Project 4/18稽古備忘録

4月から始まった半年間の演劇体験プログラム「HARF Project」。僕はそのサポート講師をやらせていただいていて、僕の初稽古が4/18にありましたので備忘録として稽古内容をまとめておきます!

「影響を受け、影響を与える」

天然工房・Nシステムの基本要素は
・エネルギーを出す
・いっしょになる
・相手のために
という3要素です。この辺の話は過去noteにいろいろ書いているので割愛しまして、それ以外に今回僕が掲げたテーマは「影響を受け、影響を与える」です。
我々は社会の中で他者からの影響を受けないように、そして影響を与えないように気をつけて生活していることが多いと思います。電車の中を想像してもらえるとわかりやすいと思いますが、みんな自分を閉じて誰とも目を合わせないようにしていますよね。それはそれで必要なことで、無用なトラブルを引き起こさないための自衛だったりするので問題視するつもりはありません。僕が言いたいのは、我々は日常生活で影響を受けない/与えないようにする訓練を積んでいる、いわば無関係でいることのプロフェッショナルであるということです。
舞台の上ではそうはいきません。共演者やお客さんから思いっきり影響を受けることで自分の中に変化を起こし、それを表現することで他者にまた影響を及ぼしていく、そのやり取りによってドラマを作らなきゃいけない。だから「影響を受け、影響を与える」とテーマに掲げ自分から積極的に影響されにいこう、という内容にしました。

ウォーミングアップ① ボックス

30分弱、音楽に合わせてボックスステップを踏み続ける。これはウォーミングアップなので身体を温めながら心と体を開いていく。閉じている日常から開いている舞台上へと自分を変化させていく過程。ここでも音楽に影響されたり仲間に影響されながらいっしょにトレーニングをすることが大切。

ウォーミングアップ② ポイホイ

Nシステムの基本トレーニング。あっちむいてホイで向かせる人は相手に影響を及ぼし、相手の体を自分が動かすようなイメージを持って、私が主体的に相手を動かそうとする。向かされる人は相手からの影響を自ら受けに行く。自分のことを考えずに、自分が相手の体を動かし、自分の体は相手が動かしてくれることを信じて任せる。

ウォーミングアップ③ 赤いリンゴ・黒いリンゴ

「赤い」など形容詞を言われたらすぐに「リンゴ」など続く言葉を言うトレーニング。黒いリンゴの方は「赤い」と言われたら赤くないものを答えなきゃいけない。
形容詞を言う人はただネタを相手に渡すだけではなく、「赤い」のあとの「リンゴ」まで私が言わせる意識を持つ。形容詞を言いながら相手に影響を与えていく。受け取る方は相手からの影響で言葉を発する。その結果、へんな言葉がでてきてしまったってかまわない。勇気をもって自意識を手放すトレーニング。…とまあ簡単に書いてるけどこれが難しいんだ。とくに黒いリンゴの方は一筋縄ではいかない。なんどやっても上手くなれない素晴らしいトレーニングです。

ここまでは毎回やる固定のウォーミングアップ。ここからが僕のトレーニングでした。

トレーニング① ナンバーライン

音楽に合わせて指さしながら数字を言うゲーム。言葉では説明しづらいので気になる方はワークショップにお越しください。
このゲームをやっているときの状態が舞台に立っている状態にすごく似ていると思っていて、早いテンポの中で自分のやらなきゃいけないことをこなすんだけど、自分のことを考えて外への意識が弱くなるととたんに失敗する。いっぱいいっぱいになりながらその中で如何に自由になれるか。

途中、完全にぐちゃぐちゃになったりしたけど、それも見ていて面白い。みんなが必死に食らいついてかみ合ったりかみ合わなかったりしている様は本当に愛おしいです。このトレーニングに限らず、カッコよくクリアしたり上手に卒なくこなすことにはほとんど意味がなくて(まあ出来るんなら出来るにこしたことないのかもしれないけど)、お客さんが見たいのはそんなところじゃないんですよね。
「役者はどうしても安心したくなっちゃう」というのぶさんからのフィードバックがあったように、役者にとっての安心がお客さんにとって嬉しいものであるとは限らないということなんでしょうね。

トレーニング② 彫刻家

二人一組になり、彫刻家と作品役をやってもらう。まず音楽をかけて、作品役の人は音楽から影響を受けてポーズを決め彫刻作品になる。そして彫刻家がその作品から影響を受けて作品名と作品の説明をする。見ている人はその説明に影響を受けて、彫刻家に質問する。
このトレーニングは影響の連鎖でシーンを作っていくもの。自分の中から面白いものをひねり出してくるんじゃなく、周囲からの影響を受けてその反応を表現していく。

彫刻になるのぶさん(左)と説明するくるみさん(右)

影響を受けてその反応を表現するためには、自分の中に起こった小さな変化を見逃さないようにしなければなりません。この彫刻を見て自分が何を感じたのか。何も感じないという人もいるかもしれませんが、僕はそんなことないと思います。とても小さいものかもしれないけど何らかの影響は必ず受けているはずなので、それをしっかり救い上げて増幅させて表現する勇気を持つことが大切なんだと思います。


ということで僕の初回トレーニングは終了しました。とても楽しかった!みんなが一生懸命トレーニングに向き合ってくれて嬉しかったです。
次回はまた2週間後なので、それまでに楽しくて大変なトレーニングを考えておかないと。

HARF Projectは4月いっぱいまで追加メンバーを募集しています。この機会に新しい世界に飛び込んでみませんか?


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