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きょうの金匱要略 1/27 婦人產後病脈證治 第二十一(3)

婦人乳 中虛 煩亂嘔逆 安中益氣 竹皮大丸主之
(婦人の乳、中虛、煩亂嘔逆す。中を安んじ氣を益す。竹皮大丸之を主る)
竹皮大丸方
生竹茹二分
石膏二分
桂枝一分
甘草七分
白薇一分
右五味 末之 棗肉為丸彈子大 以飲服一丸 日三夜二服
有熱者 倍白薇 煩喘者 加栢實一分

※婦人乳 多くは「乳難(乳が出ない)」としているそうですが、大塚先生は山田業廣先生の説を引用して「難産」のことだろうとしています。実際、「乳」の字には、子を産むこと、鳥が卵を産むことの意味が含まれています。また、『神農本草経』には「石膏 味辛微寒 生山谷 治中風寒熱 心下逆気驚喘 口乾舌焦不能息 腹中堅痛 除邪鬼 産乳金創」という一節があるとご紹介頂きました。(産乳金創は出産時の会陰の裂傷のことではないかと)
※栢實 コノテガシワの種子、柏子仁(はくしにん)

產後下利虛極 白頭翁加甘草阿膠湯主之
白頭翁加甘草阿膠湯方
白頭翁 甘草 阿膠各二兩
秦皮 黃連 蘗皮各三兩
右六味 以水七升 煮取二升半 內膠令消盡 分溫三服

※産後の下痢は非常に予後が悪いと大塚先生は解説されています
※白頭翁 オキナグサ属の根茎。清熱解毒、止瀉の効能がある
※秦皮 トネリコの樹皮。止瀉、清熱燥湿、明目の効能がある


附方
千金三物黃芩湯
治婦人在草蓐 自發露得風 四肢苦煩熱
(婦人草蓐に在りて、自ら發露して風を得、四肢煩熱に苦しむを治す。)
頭痛者 與小柴胡湯 頭不痛但煩者 此湯主之
(頭痛する者は小柴胡湯を與う。頭痛まず但煩する者は此の湯之を主る)
黃芩一兩
苦參二兩
乾地黃四兩
右三味 以水八升 煮取二升 溫服一升 多吐下虫

※浅田宗伯は尾台容堂の娘が「寒熱久しく解けず、遂に勞状をなし、諸薬効なし」であったのを三物黄芩湯で治したと尾台容堂が亡くなったあとに『橘窓書影』で記しています。それもどうなんだろう、という話になりました。


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