見出し画像

本の紹介63冊目 『見えない戦争』

こんにちは、TAKUです。

今日紹介するのは、
田中均さんの著書『見えない戦争』です。

この本は、
元外交官で戦略家でもある著者が、
現代の大国主義や過激な主張外交(トランプ、習近平、金正恩)をはじめ、
ポピュリズムに乗じて世界中で「見えない戦争」が起きており、
これを生き抜くための方法を綴った一冊です。

それでは紹介していきます。

【著者の田中均さんについて】

著者は、

・日本総研国際戦略研究所理事長
・日本国際交流センターシニア・フェロー
・ユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会幹事
・経団連国際教育交流財団評議員

これらを務められており、
多岐に渡って活躍しています。

また、著者は69年に京都大学法学部卒業後、
外務省に入省して、72年には
オックスフォード大学修士課程(哲学・政治・経済)を修了しています。

外務省に入ってからは、

・北米局北米第二課長
・アジア局北東アジア課長
・在英大使館公使
・総合外交政策局総務課長
・北米局審議官
・在サンフランシスコ総領事、経済局長

これらを経て、
2002年より外務審議官(政務担当)を務め、
05年退官して、
18年まで東京大学公共政策大学院客員教授を
務めました。

【日本について】

本書で著者は
「プロフェッショナリズムが軽視される国は、
信用を失う」
と語られています。

それは、実態の見えない成長戦略や
アベノミクスによって、
金融緩和や財政出動が繰り返され、
公的債務はGDP比で200%近くまで
増えています。

霞が関では公文書の改ざんが行われて、
日本を支えてきた産業界のガバナンスも
失われつつあります。

このまま「説明責任」「透明性」といった
基本原則を失っていくようであれば、
日本経済の信任は失われて、
経済破綻を招く可能性があります。

日本国民一人一人が、
日本のプロフェッショナルとして物事を
考えて、世界とどう付き合っていくか、
どんな未来を築くのかを考えるべきだと
著者は語られています。

【アメリカについて】

著者は、
アメリカのトランプ政権は長続きするとは
思えないと言います。

また、トランプに代わって出てくる
新しい大統領が大きな流れを引き寄せるか、
再びアメリカが「持ち出し」をしてでも
世界の統治にあたるような世界に
戻そうとするかどうかという点です。

これに対して懐疑的な見方を示しており、
トランプは「原因」ではなく、
アメリカ分断の「結果」に過ぎないと主張しています。

このままアメリカがリーダーシップを
失う状況が続けば、それぞれの国が
自国の事情で動くような、
そんな世界がやってくると言います。

国際社会において強調して、
人の移動を受け入れ、より平和な世界を
作っていこうというリベラルの理念は、
崩壊していくことになります。

【中国について】

著者は、日本の未来を考えた場合、
中国と良好な関係を築くことは、
必須条件だと語られています。

理由として、少子高齢化・人口減少
進んでいく日本にとっては、
中国の大きなマーケットと大きな人口からの
需要を活用せずに繁栄が享受できない
からです。 

その上で、
中国から信頼される相手になるには、
日中間における経済的相互依存関係で
WIN-WINを築いていく必要があります。

なので、日本が率先して取り組むべきは、
中国の変化を可能にする仕組み作りで、
中国おな相互依存関係を深めつつ、
その過程で中国が政治的革命や人権の擁護といった価値に近づけていくことが大切だと語られています。

【最後に】

本書では、元外交官で戦略家でもある著者が、
世界中の国がポピュリズムに乗じて勢いを増す中で、「見えない戦争」を説明しており、
それを生き抜くための「正確な眼」
学ぶことができる一冊です。

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?