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言語学習アプリ『Cake』へ忌憚のない意見

言語学習アプリ『Cake』を運営する会社のグローバルマーケティング担当者から「Cake Plusを無料でご体験頂き、忌憚のないご意見をNoteに記載いただけたら」とのことで、プロモーション記事の執筆依頼があった。

言語学習アプリ『Cake』

株式会社Cake
英語と韓国語の学習を最も楽しく続けられる語学アプリ「Cake」。2018年にローンチされた以降、急速な成長を果たし、現在は累計ダウンロード数1億回を突破している。2022年、「韓国で最も多く使われた英会話アプリランキング」で圧倒的首位を勝ち取った。また、BTSの所属事務所、「HYBE」傘下のエデュテック企業「HYBE EDU」と合併し、様々な人気アーティストのコンテンツを教材として提供している。

PR TIMES掲載の会社プロフィール欄より引用

僕は、ドイツ語学習者として、言語学習というマーケットにアプリで参入するというビジネス的側面や、そもそもの構造的に言語学習とアプリの相性はどうなのかなど、面白そうなテーマに頭を悩ませ、考えを巡らせられるきっかけが生まれたことに、僕の知的好奇心をそそられてしまった。

そして、書くことに。

「忌憚のない意見を」とのことだったので、報酬を頂かないことと、プロモーションになるかどうか分からない内容になってしまう可能性があることを予め断った。

その上で、Cakeという言語学習アプリを通して、思考を巡らせてみる。



まず初めに。

このアプリは素晴らしかった。

エンタメの力を掛け算して、楽しく言語学習をしてもらおうと様々な工夫が施されていた上に、人間の脳の構造や効率良い学習法を考慮して、効率よく言語がマスターできるようなプログラムに間違いなくなっている。

Snacksというショート動画に特化した機能、くどい程繰り返されるクイズ、タイムラインにも散りばめた復習機能、テストや試験ではなく実際の生活で使われる英語に特化したカリキュラム、などなど。

とにかく学習効率の高い動画を用いて英語に触れ、学んでいくことができる。それも英語ならDisneyをはじめとする全世界で親しまれているメガコンテンツ、韓国語ならBTSを筆頭にしたK-POP、これらの強いエンタメを絡めることでさらに学習への意欲を掻き立てるよう設計されていた。

エンタメの力を混ぜることによって気を逸らせ、勉強をしているという修行のような感覚を持たせることなく英語学習にのめり込ませることができれば、後は時間の問題。学習者自らが勝手に動くようになり、加速度的に成長を後押ししていくことができるだろうと、アプリにハマったときの妄想ができた。

また、普通の語学学習アプリにも復習機能はあるのだが、Cakeはこの復習機能をあらゆる場所に散りばめているのが良い。

復習が大事なことは皆知っているが、ほとんどの人がやらない。なぜならつまらないからだ。ただこれを色々な過程に散りばめ、それもできるだけ気づかれないように、仕組みに落とし込むことで解決しようとしているのが素晴らしいなと感じた。

この機能のおかげで、覚えたいと思っていない単語やフレーズさえも、今だに僕の頭に定着していたりする。エビングハウスの忘却曲線を考慮し、上手に活用しているなと開発者サイドの優秀さも少し伺うことができた。

他にも、Snackというショート動画機能は特段僕が気に入った機能だ。言語学習に特化したTikTokと言えば分かりやすいだろうか。時間を溶かすほど依存させるショート動画をこの方向に利用するのは非常に相性が良いと感じた。

エンタメ好きな人は特にだが、基本、どんな人にでもおすすめできる。そんなアプリだった。リンクはこちら



ただ、正直、僕は今回このアプリにハマらなかった。

僕は高校時代に英検2級を取得した頃から英語が話せるようになりたい、習得したいという思いを持ち始め、ヨーロッパに住むようになって旅行もそこそこするので日本に住んでいる人に比べれば英語も身近で、英語への熱量も高かったはず。英語ができないコンプレックスを今でも少し抱えていて、英語を学ぶ理由や欲がちゃんと僕にあったのは間違いない。

しかし、僕自体がそもそも自由人で、ゲーマー気質ではなかったり、独学で自由にやっていくのが好きというのがあったのかもしれない、とにかく僕にはハマらなかった。

使いながら、言語学習アプリはどんな課題を解決できるのか、UI/UX的な観点やアプリ内の仕組みは言語学習者にどのように影響しているのかなど、触りながら色々なことを考え、メモをとった。

全世界1億ダウンロードで、あのDuolingoに並ぶアプリだということで、そもそも僕のような素人が指摘する隙などないだろうと思っていたが、素人で普段変なことを考えている僕だからこそ見えたポイントもあったような気がしている。

一つ、もっと潜在意識に訴える“ハマる仕掛け”が必要だと感じた。音やボタンの感覚、デザインなど。もう少し言語とは全く関係のないところで、人々の本能や潜在意識の世界を刺激し、何がすごいのかわからないけどなんかすごいと思わせるジブリ映画のような要素が必要なのではないかと感じた。

二つ、成長している実感、前に進んでいる実感を持たせてくれる機能が欲しいなと。

僕がサッカーやドイツ語を通して実感したことだが、言語学習に限らず何かを習得していく上での成長曲線というのは必ずしも直線の右肩上がりではなく、波のように上下に成長と時に退化を繰り返しながらインデックス株のように少しずつ上がっていくものだ。

ただ、これを知らないと、これが見えないと、成長を実感できなくなったときに離脱してしまいやすい。希望が見えないからだ。やればやるほど時間に比例して一次関数の直線のように成長していけばいいが、現実はこんなにやったのに成長していない、むしろ退化しているじゃないか!というストレスの方が多い。

しかし、成長曲線の全体像が可視化され把握できていて、自分が今どのフェーズにいるのかを客観的にみることができれば、「今はそういう時期なのか」と捉えることができ、離脱の阻止に繋がる。少なくとも僕の場合はそうだった。

どのようにそれを表現するかという話だが、これはよくゲームアプリにあるポイントを集める機能とは似て非なるものだ。例えば、アプリ上で1人1匹の猫を飼わせる。英語の成長(フェーズ)に応じて猫が大きくなったり、歳をとって成長していくような機能を設ける。これと勉強の進捗を紐づけて、成長の実感を可視化してみるのも面白そうだ。

TOEICで900点をとれるほどの英語に上達したら、猫が死んでしまうなどの機能があっても面白いかもしれないし、昔流行した『なめこ栽培』の要素をヒントに育てる要素など上手に盛り込んで言語学習と組み合わせてみてもいいかもしれない、、、、。(言うは易し、やるは難し)



と、戯言を述べたが、正直、僕がハマらなかっただけだ。アプリ自体は構造的な改善の余地があるなとも感じたが、総じてよくできている。

ピンクで明るく楽しいイメージを印象付けるアプリの裏側に、開発者や運営者の細かい気配りや努力をたくさん垣間見ることができた。なんせ痒いところまで手が届いている(絶妙に欲しい機能がたくさん備わっている)。これは想像力を正しく働かせて先回りできる人でないと成せる技ではない。

そもそも僕のような無名の素人に忌憚のない意見を求めている担当者がかなりの変人で、でもそんな変な熱量をもった人たちがたくさん開発に関わっていて、このアプリをここまで大きくしたのかなとも思う。社会に影響を及ぼすような人たちというのはだいたいそういう変な人だったりするし。

と、まぁプロモーションには全くならない記事を書いてしまったが、今回の一連のやりとりを通して、そんな変人たちが作っている?であろうCakeの今後が少し気になっている僕が生まれたのも事実。

今後のCakeやいかに。



かくいたくや
1999年生まれ。東京都出身。大学を中退後、プロ契約を目指し20歳で渡独。挑戦の末、夢を諦め、現在はドイツの孤児院で働きながらプレーするサッカー選手。

文章の向上を目指し、書籍の購入や体験への投資に充てたいです。宜しくお願いします。