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2022年度を振り返る(教職課程)

教職課程の担当授業である「英語科教育法I,II,III,IV」についてはマガジンに散々まとめてあるので、北陸大学国際コミュニケーション学部の教職課程の学生達との授業外での様々な活動について。

教員採用試験対策

2022年度卒業生

2022年度に卒業し、この春から私立の高校で英語教師としてのキャリアをスタートさせる学生。彼女の授業を担当することは残念ながらなかったが、教員採用試験に向けたささやかな支援をさせてもらった。
特に模擬授業の練習では、正直なところ私自身も教採における模擬授業の正解の形がよく分かっておらず、探り探りやっていたが、本人が粘り強く本当によく頑張ってくれた。
模擬授業練習の前は緊張してご飯も喉を通らないようなことも日常茶飯事だった。逆に模擬授業練習が終わった後に研究室で他愛もない話をする時間が穏やかですごく楽しかった。
授業も担当できず就職先が無事に決まった後はあまり多く関わる時間もなかったが、彼女は私にとって「0期生」とでも呼ぶべき存在で、今後も(求められる限りは)彼女の英語教師としての人生を少しだけお手伝いしていきたい。

2023年度卒業生(現4年生)

3年後期辺りから少しずつ教員採用試験に向けた勉強をしてきた。石川県の英語の教員採用試験は(他の都道府県としっかり比較したわけではないが)結構難しく,4年生になってからではなかなか勉強が追いつかないことが予想される。1週間に1度希望する全ての学生と面談をして,1週間の学習の振り返りと次の1週間の計画について話すことで,「受験勉強」を軌道に乗せた。「受験生」として毎日勉強するようになった学生もいて,春休み中もほとんど毎日大学に来て勉強している。
加えて,教員採用試験で実施される模擬授業や面接の対策も始めている。春休み中に一度,教員採用試験と同じ条件で模擬授業を行った。まだまだそれぞれの学生が課題を色々と抱えている段階ではあるが,4月から定期的に練習を積むことで確実に合格ラインに持っていきたい。

英語教育合同ゼミ合宿

私の学生時代から続く山梨大学・信州大学・中京大学(元々は静岡大学)の英語教育ゼミとの合同ゼミ合宿。
学部生・院生時代に毎年参加し、中高英語教員になってからもオンラインで一度参加させてもらっていた。そんな思い出と思い入れたっぷりのゼミ合宿に遂に教員側として参加する日が来てしまい、感慨深いやらプレッシャー強いやら。
名古屋での2日間を通して学生同士、そして私と学生の関係性もまた少し変わったりした。初日に(流石に遅刻できないという焦りもあって)私が全ての電車の時間等を把握して行動を管理していたら、夜のホテルでみんなで反省したらしく、2日目はめちゃめちゃ引っ張ってくれた。頼もしかった。そういう経験がちゃんと教員になってから引率とかで活きるはずだし,主体的に1日を振り返って次の日の行動を変えたことが嬉しかった。
また当時は名古屋まで行くこと、知らない大学の学生と会うことに大緊張してた学生達も「今年はいつですか?」なんて聞いてくるぐらい楽しみにしてくれてる。4年生は卒論発表もする。当たり前のように「ゼミ合宿」と呼んでいるが、残念ながら北陸大学に今のところ英語教育ゼミは存在せず、私は彼女達のゼミ指導教員ではないので、ほとんどの学生の卒論に対してほぼノータッチ。どんな卒論が仕上がるのか楽しみだ。

英語科目SA

(御多分に洩れず)本学にはStudent Assistant(SA)制度があり、授業やイベントの補助を学生に(バイト代を支払って)お願いすることがある。
2022年度後期は教職課程の学生4名をSAとして雇用し、私の担当する1年生の英語4技能科目(Reading/Listening)を一緒に運営してもらった。毎回行う洋楽リスニングの曲決め・ワークシート作り・活動の実施、洋楽の歌唱指導、リーディング活動にリスニング活動、音読の指導、最終回のアクティビティの考案・準備・実施など大車輪の活躍だった。

多忙を極める教職課程の学生達のスケジュールの中で何とか時間を見つけて授業準備をしてもらった。いざ学生に対して授業をしてみると、自分の準備不足・知識不足を真正面から突きつけられ、模擬授業では得られない「痛み」を伴うような経験をした。
教職課程の担当教員としては、正直なところ、その痛みも含めて期待していた経験であり、授業の上手くいかなさも想定内ではあった。一方、そもそも十分な準備時間が取りにくいという問題と、授業を履修する学生達の寛容な心への依存という問題は少し解消を図らなければならない。

東京学芸大学教職大学院訪問

1月には東京学芸大学の教職大学院で行われた対話型模擬授業検討会の説明会・体験会に、学生を1人連れて足を運んだ。

金沢・武蔵小金井の日帰りはなかなかハードではあったが、自分達のやってきた1年間の対話型模擬授業検討会を見直す大変貴重な機会となった。帰りの新幹線では学生と(腹を割って?)我々の「これまで」と「これから」を語った。
その時の動画はこちら▼

この日一緒に東京へ行った学生は、9月のゼミ合宿以降、あらゆる機会に積極的に飛び込む姿勢を見せており、特にこの時期は授業以外で何時間一緒にいたのか分からないぐらい、2人で色々なことに挑戦したり、彼女の頑張りを横から見守らせてもらったりしていた。
自分が大学生の時に指導教員の先生に与えてもらった経験やチャンスの大きさからしたらまだまだ小さいかもしれないが、一緒に飛び込んで学ぼうとしてくれる学生と出会えたことに本当に感謝している。
こういう学生とは、英語の先生になろうとならまいと、長く関係が続いていくことになるのだろうなと思っているが、彼女の人生の邪魔にならないよう気を付けよう。

札幌新陽高校訪問

2022年度入学生から「単位制」を採り入れた札幌新陽高校。校則も改定し、先生方のマインドセットもあって、自由な校風が実現され、その授業風景は教職課程の学生がちょっとしたカルチャーショックを受けるほどのものだった。
この訪問の目玉は2日目に行った対話型授業検討会。普段我々が模擬授業の省察のために行っている検討会を、実際の授業者の先生と実際の生徒で実施した。その時のことについてはまた改めて書くが、上で紹介した東京学芸大学教職大学院での学びも活かして、先生・生徒双方にとって喜びのある検討会を行うことができた。
その時の動画はこちら▼

この札幌新陽高校訪問中には英語以外の授業も見せてもらった。その時の記事についてはここにある通りだ。

高校訪問(出前授業)

2月に石川県の公立高校に教職課程の学生3名と訪問し,学生が20分程度の出前授業を行った。正確には,同僚の先生が高校での授業に行くということで私と教職課程の学生が同行させていただいた形で,私はほとんど何もしていない。
学生には「大学での英語の授業を高校生につかんでもらう」ことを目標にして「英語を使ったアクティビティ」を考案・実施してもらった。テスト期間から春休みの最初の時期かつ,私は割と直前の時期まで札幌にいたため,みんなで集まって作るという時間は取れなかったが,学生同士できちんと連絡を取り合って活動を作ってくれた。
当日は我々の授業に参加した高校生は2名に留まったが,授業は学生たちの頑張りもあり,楽しく進んだ。特に目を見張ったのは,授業の後半,教員の用意したリーディングの活動に苦戦していた高校生に対して,学生が自然と横に位置どり,膝をついて目線を合わせ,英文を理解できるようサポートをした場面である。私から何の指示も目配せもすることなく,学生が自分で判断してその行動を取った。もしかしたら高校生にはそれがかえってプレッシャーになったりしたかもしれないし,もっと自分のペースでゆっくり読みたかったかもしれない。その辺りのことは分からないが,学生らがその場で取るべき行動を主体的に考え,実際に行動に移したことが重要である。ただ「授業を見させてもらう」「活動をやらせてもらう」という認識・立場ではなく,学習者の学びを可能な限り良いものにしようという意思を持って教室にいたからこその行動であり,驚くとともに嬉しい気持ちになった。

おしまい

教員養成に携わりたいという学部生の頃からの願いが叶った2022年,その責任の重さとやりがいの大きさを日々感じながら過ごした。
2023年度は「一期生」が卒業に向かう1年間になる。
既に「寂しい」と嘆いている学生もいるが,また1年間実り多く,そして楽しい時間にしていきたい。

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