さっぱり極楽宇宙の片隅

晴れ。
寝過ごして、部屋の暑さで目が覚めた。
昼前。
シャワーを浴びて髪を切りに行った。
帰宅してから友人の誘いで温泉に行った。
常連の友人に誕生日の優待ハガキが届いていたから連れにしてもらったのだ。
平日の昼間に入る露天は何とも言えない。
そして午後から夜まで、ずっと空調の効いた畳の上でゴロゴロした。
入湯料が浮いたのを言い分に、夕飯も館内の食事処で食べた。
鶏の唐揚げ御膳。
美味しかった。
帰る前にもう一度風呂に行った。
日が沈んでからの露天ももちろん最高だ。
信楽焼の大きなつぼにたっぷりお湯が張られたつぼ風呂なるものがあって、私はそれが好きなので、つぼの一つにじっと陣取っていた。
腕と脚をだらんとつぼの外に出して、茹でだこにでもなった気分だ。
のぼせきって休憩用の細長いベンチの上で夜空を眺めた。
真っ裸で空を見上げるのは清々しい。
ぽつりぽつりと星が見え始める。
昨夜、カリール・ジブランの『預言者』を読んだ。
その影響と露天の解放感にあてられて、星の瞬きにまで思考が流れていった。
この視界の中の、私とあの星々との間に漠然と感じるこの広大な奥行きはなんなのか。
すべてを在らしめた絶対の神は、一体どれほどの配慮で私とあれらの星との間の距離を決めたのか。
地上に生きている限り肉体の世話をしなければいけない。
しかし肉体の苦楽は、全体のほんの片隅の現象に過ぎない。
肉体を通して受ける恩恵に甘んじても、それに心酔しすぎてはいけない。
魂や心とか言われるものは、きっともっと別の過程にいるのだ。
とかのぼせたことを言えるくらいには極楽だった。
おやすみなさい。