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時代の兆し。

ずっとずっと書きたかったけど、書かずにいたテーマがある。

もちろん「やりたいことはいまやれ」という考え方もある。人の命はいつ終わりを迎えるかわからない。だからできることは今やった方がいい。それは確かに真実であるだろう。

だけど僕は「やりたいことはベストなときにやる」と考え、そのベストを手探りでやってきたところもある。「ある結果を出したら、やりたいことをやる」というのは、未来の自分との約束でもあって。それを守り通すべく、日々を丁寧に、安全に送る、ということだってあるだろう。

で、話は戻る。僕が書きたかったことのひとつ、それは羽生結弦選手についてことだ。

超ラッキーなことに、これまでWEBメディアなどで言及する機会をいただいてきたことはあった。

特に、羽生選手がプリンスの楽曲を選んだ頃からは、勝手に応援し、勝手に尊敬し、勝手にツイートすることもあったが、それでも「書きたい気持ち」をかなり抑制してきたつもりだ。

 そのように制御した理由、それは僕がスポーツドクターや音楽のツアードクターであることが影響していると思う。 ご本人が現役選手として走っている期間は、ご本人の言葉を直接リアルタイムで知るのがいちばんだと思っているからだ。つまり僕というフィルターは余計であり、そんなものは必要ない。とにかく本人の言葉を聴け、である。
 
これは敬愛するプリンスに関しても同様で、僕は「彼が現役中にプリンスを公の場で語る」ことはあまりなかった。彼の現役中は公式アルバムのライナーノーツでの協力や西寺郷太さんの書籍『プリンス論』にエピソードを提供したくらいのものだろう。

 話は戻って、羽生結弦選手のことは(すごく詳しいわけではないけれど)その存在が本当に好きだし、尊敬しているからこそ、おいそれと自分の作品でテーマにすることは憚られたし、それは違うという感覚があった。何よりも僕の書き手としての実力と実績が足りなかったので、「僕はまだ語るべきではない」という心理的なブレーキは当然あったのだ。


しかし時代は移り変わる。

プロスケーターとして新たな歩を進め、東京ドームという舞台でもの凄い数の視線を一身に集め、世界中にエネルギーを与える2023年現在の羽生選手。これはもう唯一無二の存在感の人が、誰も踏み込まなかった領域に踏み込み続けている文化的挑戦と言っても良いのではないだろうか?

そして僕のマインドも変化してきた。今までは見上げるしかなかった歴史的天才から、少しでもリアルタイムで学びたい。子供たちとも共有してみたい。もちろん敬意を忘れることなく。そう思うようになったのだ。

「失敗で成功するためのものが見える」羽生はこの(プリンスの)言葉について、「僕は挑戦することに生きているし、失敗して、そこから強くなることに情熱を注いでいる。限界なんてないと常に思ってやっているので、すごく共感できた」と語っている。

asajoより



羽生選手は、この言葉通り、挑戦に生き続けている。非常に興味深いのは、他のスポーツでも、他ジャンルでも、「挑戦に生きる姿はカッコいい」という空気感が時代の兆しとして感じられることだ。

 有名なキックボクサーがボクシングに転向を表明したり、元アイドルが新しい事業をスタートしたり、お笑い芸人が小説で文学賞を獲得したりと、「枠にとらわれない」というか、「枠って何なの?」にグラデーション的に変化してきている。

「人はなりたい自分になっていいのだ」

と言葉を使わずに手本として魅せてくれている。そんな新しさの到来に乾杯しながら、僕もワードに羽生選手の偉業から感じたことを少しずつ文章を打ち込んでいる。いつ、どのタイミングで、どの作品としてリリースされるのかはわからないけど、これだけはハッキリ言える。

羽生選手のおかげで「羽生選手について書いているときの自分」はとても居心地がいい、と。若き変革者にお礼を伝えたくて書いてみた。

追伸:強さの磨き方、第4章ではLet's Go Crazyと羽生選手について言及しました。プリンスの魂を世界にひろめた最高の立役者への感謝を込めて。

2023/10/07追記
遂にその時が来ました。

パフォーマーとして学ぶことがあまりに多い、羽生結弦選手。はじめに、で言及させていただきました。もちろん本編でも、彼の圧倒的研鑽無くしては気づかなかったことがたくさんです。はじめに、を全文公開してみました。


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