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自分に合った展覧会ってどんなかたち?

こんにちは!画家のTAKUYA YONEZAWAです。

今回は展覧会の種類について、解説してみようと思います。
展覧会は作品を作っていたら、一度は「やってみたい、参加したい」と思うものだと思います。少なくとも自分は、学生の頃、「絵を描く=個展を開く!」のようなイメージをもっていました。

でも、この業界で活動していくうちに、一言で展覧会と言っても、種類は様々だということが分かりました。

この記事では、様々な展覧会のかたちについて網羅的に解説してみたいと思います。「じゃぁ、自分はこの展覧会を目指してみよう!」など少しでも参考にしていただける部分があれば嬉しいです。

少々長いですが、自分の活動を想像しながら楽しんでいただけたら嬉しいです✨

展覧会はワクワクする!


「展覧会」って、ワクワクする響きですよね!

作品を制作していて「この作品を展覧会で発表したい!」と考える場面って、きっと多いんじゃないかなと思います。

特に、今めちゃめちゃノってる!とか、すごいいいアイディアがある!いい作品ができた!というときは、誰かにその成果を見せたいですよね!✨

そんなとき、頭をよぎるのが

展覧会で作品を見てもらいたい

ではないでしょうか。

もちろん、今はSNSがあります。発表の仕方(たくさんの方の目に触れる方法)は工夫次第でいくらでもあるわけですが、展覧会しかないメリットも存在します。

例えば
・作品を間近で見てもらえる
・作品を言葉で説明する力がつく
・会話の中で感想をもらえる
・ファンの皆様と交流ができる
・気合の入った作品が生み出せる

などが挙げられます。

中でも実際の作品を、間近で見てもらえる(場合によっては作者の解説付きで!)というのは、作者にとっても絵をみにきた方にとっても素敵な体験になると思います。

展覧会には、いろいろある。

でも、「展覧会に出展してみよう!」と思っても、実は展覧会には色々と種類があるのです。

お読みいただいている方の中には、作品制作を始めたばかりの方もいらっしゃると思います。最初の頃は、作品を作ったはいいけれど、どんな場所で発表すればいいのか、その方法もいまいち分からず迷ってしまうのではないかなと思います。なので、ざっくりではありますが、これから7つほど、展覧会の種類をご紹介していきます。あわせて、その展覧会を経験することで、どんな能力が成長するかも自分なりに考えてみました。ぜひ展覧会の種類を知って、自分の出してみたい、主催してみたい展覧会の想像を膨らませていただけたら嬉しいです🎨

展覧会の7つの種類

成長できることの解説
 ・作品制作力・・・作品をつくる力。技術や内容の深まりなど。
 ・企 画 力・・・展示内容を考えたり運営する力。
 ・計 画 性・・・時間を計算して作品を完成させられる。

①グループ展

【 成長できること 】
 ・作品制作力・・・中(仲間と共に成長!)
 ・企 画 力・・・小〜中(積極的に参画すれば…!)
 ・計 画 性・・・中(締切の意識が生まれる)

複数人でギャラリーをレンタルして行う展覧会。展覧会としては開催のハードルが低く「まずは、作品を展示してみたい!」というときに、比較的実現させやすい展覧会だと思います。複数人でお金を出し合うので、お財布にも優しい。仲間内でアイディアを出し合い、どこで、どんな展覧会にするかを話し合いながら詳細を決めていくのは、青春っぽくてすごく楽しい。

ただ、作品だけ作って当日飾るだけでは、得られる経験値は少ない。

展覧会は、どんなテーマで、どうやってお客さんに知ってもらって、会場でのように楽しんでもらうか、できれば会場を後にした後にも思い出に残ってもらうための工夫を考える、など、学べることがいっぱいあります。

だから、企画段階から「展覧会づくり」に参加した方が得られるものは大きいです。

②個展(画廊企画も含む)

【 成長できること 】
 ・作品制作力・・・大(自分一人で世界を作る!)
 ・企 画 力・・・特大(企画運営全て自分!)
 ・計 画 性・・・大(だからこそ、計画が破綻するとやばい)

<個人企画の個展>

展覧会、といえば個展を想像する方も多いと思います。名前の通り、個人でギャラリーを借りる、もしくはギャラリーから声をかけていただく形で実現します。個人で借りる場合は有料、ギャラリーから声がかかる場合は無料もしくは、自己負担少なめで開催できることが多いです。

個展は、基本的に企画・運営・作品制作・展示・販売など全ての工程を一人で行います。(場合によってはギャラリーが手伝ってくれます。)なので、得られる経験値が、他の展覧会と比べてものすごく多いです。

作家活動のをギュッと詰め込んだパッケージセットみたいな感じです。

だからこそ、主催者の負担が大きく、開催のハードルも高いのですが、それでもやる価値は高いです。

また、「展覧会をつくる」経験は、作品を自分以外の誰かに見せる方法を考えることにもつながります。この、お客さんの視点や導線を真剣に考えることも、作品を成長させてくれる大きな一因になると感じます。

めちゃめちゃ大変だけど、終わったらまたやりたくなる。個展を経験された方はきっと、こんな感想を抱くのではないでしょうか。

やるなら個展。個人的にはそう思います。

<画廊企画の個展>

また、個展はギャラリーなどが主催する企画展の場合もあります。

ギャラリーを貸し切って行うものや、デパートの画廊で展示を行うなどが一例です。この場合は主催者と共同で展覧会を作っていくことになります。「こんな作品が飾りたいなぁ」という主催者側の意向が発生する場合もあるので、完全に自由にできるというわけではな違かもしれませんが、基本的には上の個人企画同様に莫大な経験値になると思います。

販売に関しては、有名な場所だと、そのギャラリー自体に顧客がいるので、作品が販売いたるケースも多いようです。

ただ、レンタルスペースと違い「やりたいです!」といってすぐにできるわけではないので、自分からガンガン売り込んで、チャンスを掴むか、発表を続けていく中で、作家として成長して、露出が増えてきたタイミングで、巡り合わせで声がかかるような印象です。

③ギャラリー企画展(グループ展)

【 成長できること 】
 ・作品制作力・・・中〜上(全国の作家仲間と切磋琢磨!)
 ・企 画 力・・・微(テーマが与えられていることが多い)
 ・計 画 性・・・中(締切に合わせて完成させる!)

ギャラリーが企画を立てて、参加を募って開催する場合が多いです。SNSなどで情報発信を行い、DMやmailなどで「〇〇という展覧会に出品しませんか!」というお誘いが来ます。

多くの場合は有料で、展覧会の内容や規模、値段に納得がいったら出品するという流れになります。

企画ごとにテーマを設けていることが多いので、自分の好きな分野だったり、その時作りたいと考えている作品とテーマが合いそう、など気持ちが乗りそうな展覧会を選ぶのが、楽しむポイントかなと思います。

注意点は、参加する前にHPをよく読んで、気になる点があれば主催者に必ず聞くこと。ここを怠ると、あとあとギャラリーとの関係が微妙な感じになることもあるので、注意です。

得られる学びとしては、作品制作力が高まります。仲間内ではなく、全国各地色々な方が出品してくるので、そこでいかに自分の作品を見てもらうかが、鑑賞してくれる方の印象に残るかどうかのポイントなので、美術に勝敗はないと言いつつも、ここは勝負どころなのかなと思っています。

④団体展(〇〇会など)

【 成長できること 】
 ・作品制作力・・・大(でかい作品が多い)
 ・企 画 力・・・微(一枚絵勝負なことが多い)
 ・計 画 性・・・中〜大(絵が巨大だから、計画的に。。)


国展や日展などの全国規模の団体や、各都道府県の名前を冠した団体が主催する展覧会。

一般公募で、応募には数千円程度の料金がかかる。ここに+送料がかかるのですが、団体展は大作が基本なので、送料が何万とか普通にかかるのが恐ろしい。

それぞれの団体に個性があり、その団体雰囲気が好きで、「ここに所属したい!」と思ったら、応募してみるのがいいと思います。

自分の好きな先輩作家さんたちに囲まれて、時には助言をもらいつつ、自身の作品を成長させていける、そして、それがその地域の、その団体のレベルを維持、引き上げていくといったように、育成機関のような役割も担っていると感じます。

その反面、特に魅力を感じない場合は、応募しない方がいいです。たとえそこに所属しても、諸先輩方のアドバイスはスッと自分の中に入ってこないし、苦痛に感じることの方が多いと思うからです。

でも、美大とかだと、研究室の先生が、特定の公募展に所属していたりして、暗黙の了解として出品する空気になっていることもあったりします。でも、それはそれ、これはこれです。本当に魅力を感じたら、その団体への所属を目指すのがいいと思います。

⑤公募展(コンテスト系)

【 成長できること 】
 ・作品制作力・・・中〜上(全国の気合いが入った作品が集まる!)
 ・企 画 力・・・中(テーマの中でどう魅せるか)
 ・計 画 性・・・中(締め切りには余裕をもって。。)


応募して賞に入ると、ギャラリーや美術館などで作品を飾ってもらうことができるコンテスト形式の展覧会。多くの場合、入賞すると賞金が出ます。

賞金がなくても、有名ギャラリーで個展を開催できる権利がもらえたりします。

画材店や大学の掲示板に、けっこうポスターが貼っているので、応募してみようかなと思った人も多いのでは。

得られる学びとしては、作品制作力が向上します。全国各地から、入賞を狙った気合の入った作品が集まってくる、その中で自分も賞に入るぞ!と気合を入れて描くので、作品をつくる力が向上します。

ただし、強制力はないので、セルフドロップアウトも可能。(自分も何度か出品を諦めたことがあります。)なので、途中で諦めない気力と、明確なゴール設定が成長のカギだと思います。

あとは、なんとか締め切りまでに作品を完成させるため、時間を逆算しつつ制作することになるので、スケジューリング能力も向上します。学生時代は締切が近くなると、徹夜で制作をしていた記憶が蘇ります・・・

⑥アートフェアでの展示

【 成長できること 】
 ・作品制作力・・・大(全国、全世界のアート好きにアピール!)
 ・企 画 力・・・中(いかに足を止めてもらうか)
 ・計 画 性・・・中


国内外問わず、現在はさまざまなアートフェアが開催されています。

会場では、作家さんたちと交流しながら作品を見て、気に入ったら購入することができるイベントです。

個人ではなく、ギャラリー単位での出展になることが多いです。そのため、フェアに参加したい場合は、ギャラリーに所属することが必要になるかもしれません。

アートフェアは、ギャラリストが選出した作品が集まる性質上、レベルの高い作品が多く集まっている傾向にあります。だからこそ、その中で自分の作品を見てもらうには、作品の質(技術・内容共に)を高めて渾身の作で臨む必要があります。

また、来場者は、作品を「飾る」ことも想定してみにくる方が多いので、「自分の作品をどこかの壁に展示すること」も想定した作品作りをするという客観的な視点も鍛えられます。

⑦美術館での展示

【 成長できること 】
 ・作品制作力・・・大(すごいプレッシャー。その分、成長。)
 ・企 画 力・・・大(動線、見せ方、超計算する。)
 ・計 画 性・・・大


美術館からオファーがあり、作品を制作・展示します。

多くの場合は主催者側から制作費をいただけて、それを活用して作品を制作します。(中には過去作を出展してください。という依頼もあります。)

送料や配送の手配もしていただけることがほとんどだと思います。自分の時は、運送業者の美術部門の方々がものすごい丁寧さで作品を梱包、運送してくださいました。(感動しました。)

大まかな流れとしては、オファー(概要説明)、制作する作品の展示プランの提出、作品制作、展示、搬出となります。

その中でも、解除の規模や来客層を想定したプラン提出と作品制作は、素晴らしい制作経験になりました。

美術館での展示は、自分から働きかけて展示するということは難しいですが、オファーがあったら、ぜひチャレンジしてみると素敵な経験ができると思います。

展覧会に出す意味って何?

以上、7つの展覧会について、ざっくりとまとめてみました!
さて、最後に考えてみていただきたいのは

「その展覧会に出す意味ってなんだろう?」

という問いです。

もちろん、展覧会を主催したり、企画に参加や応募したりすることは、とても楽しく充実感をもたらしてくれます。「制作してるなぁ!」と感じます。だけど、大切なのは、その活動が自分をどう成長させてくれるのかを、明確に意識できているかどうかです。

自分は、展覧会を重ねていけば、勝手に成長していくほど、美術業界は甘い世界ではないと思っています。

大切なのはその展覧会で、自分がどう成長できるかを考えること。

例えば

・作品を作る力をつけたい
・知名度を上げたい
・企画力を高めたい
・ファンとの交流の場にしたい
・人脈を広げたい

など、かもしれません。
それは、人によって様々であっていいと思います。

大切なのは、その目的は、展覧会によって達成されるのかどうかです。

展覧会はお金も体力も使います。

大きいものだと、数ヶ月はまともに違う作品を作れなくなります。

時間も体力も、有限です。

だからこそ、本当に自分に必要な展覧会ってなんだろう?と考えてみることって大切だと実感しています。

自分はどんな作家になりたいのかな?

この活動をしていたら、目標としている姿になれるかな?

そんなことを考えつつ、自分に合った発表方法を探してみてください🤲

おわりに

結構な長文になってしまいましたが、最後までお読みいただき、大変ありがとうございました。

展覧会を企画してみようかな!もしくは自分はこの展覧会に出してみようかなと思えるきっかけになったら嬉しいです。

最後になりますが、、ご質問があればお気軽にコメントください!自分の知識や経験で答えられる範囲でお返事させていただきます✏️

また、自分はこうだった!というような経験談などもいただけたら嬉しいです✨

それでは、素敵な制作ライフを!
また次回お会いしましょう🎨

TAKUYA YONEZAWA

※いつもお読みいただき、ありがとうございます!このnoteでは自分の絵描きとして経験してきたことや考え方などを文章で届けています。🖤やコメント、サポートをいただけたら記事更新の励みになります!これからも、どうぞよろしくお願いいたします🎨

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