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「好き」だけじゃダメ!?自分だけの個性をみつけるために試してほしい創作アイディアのかけ算

イラストや絵画を専門に活動されているみなさんは「絵を描く」のが好きですか?
そう聞かれたら、もちろん!大好き!と答える方がほとんどだと思います。
もちろん僕も絵を描くのが大好きです。というか好きじゃないと続けられないですよね。

でも、ふと思ったのです。
好きなだけで仕事になるのか?と。

趣味で続けるのであれば「好き」なだけでいいと思うのです。しかし、絵を仕事にしたいなら、好きなだけでは足りない。これが僕の考えです。

ぼくはこれまで絵画制作を10年以上続けてきました。もちろん絵は大好きです。ライフワークだと思っています。だけど思い返せば「好き」なだけでやっていけるほど甘い世界でもないと感じます。

今回の記事では「絵を仕事にする」ために自分が行なっている考え方について掘り下げて考えてみました。

好き=制作エネルギー

photo by Pixabay

ぼくは「好き」というのは制作のためのエネルギーだと思います。
この気持ちが創作の原動力になります。

創作活動には相当なエネルギーが必要です。
自分の中に「つくりたい!」という強い気持ちがなければ作品はなかなか実現できません。

だからこそ、「好き」を仕事にしたいと考えるのは大正解であり大前提だと思っています。

好きなだけじゃダメなの?

だったら好きなだけでいいんじゃないの?
次はこのような疑問が浮かんでくると思います。

「好きなことで生きていけたら最高」

僕もそう思います。
好きなことをして生きていけたら最高ですよね!

でも、好きなだけでは上手くいかない場合が多いです💧

もちろん、絵が好きなだけ仕事が舞い込み、食べていける人もいます。でもそういう人はほんのひと握り。超絶絵が上手いとか、色彩センスがずば抜けているとか、他にはない才能がある人達です。自分を含めてそれ以外の人は「絵が好き」というだけでは食べていくのは正直難しいです。

では何が足りないのか?

伝えたいことを明確にする。

それは「何を伝えたいか」という視点だと思います。
制作の動機とも言い換えられます。

例えば展覧会で作品を目の前にして鑑賞者の方から
「あなたはその作品で何が伝えたいの?」
と言われた時に、説明できるでしょうか?

この質問に対する自分なりの答えが制作の動機になります。
作品で「何を伝えたいのか」をはっきりさせることが作品づくりではすごく大切になります。

動機が曖昧で、ただ好きだから、楽しいからという理由で制作していたら、自分が好きなものを好きなようにつくる。いわゆる「自分勝手な表現」になってしまう可能性があります。

これでは人の心を動かすモノづくりは難しいかもしれません。

作品を作って発表すれば、反応してくださる方は必ずいます。そんな方々に対して自分は何を伝え、どんな気持ちになって欲しいのか。ここを整理しておくことが大切です。

絵を仕事にするには?

photo by Pixabay

では、絵を仕事にするには結局何が必要なのか?

それは
自分にしかできない考え方や表現方法だと思います。

誰にも真似できない、その人にしか生み出せないものには価値が生まれます。描くものが誰かの模倣だったり、誰でも簡単に思いつくものであれば、結局上手い人に軍配が上がります。例えば「美しい海」を描こうと思ったら、自分より上手な人は超いっぱいいるので、同じ土俵で戦ってもまず勝てません。

だから、自分の考えを他人には真似できないやり方で発表するべきなのです。

「この作品はあの人にしか描けない」と思ってもらえるのがベストです。

めちゃめちゃ上手いから、作品が売れるというわけではありません。技術はなくても魅力的な作品はたくさんあります。その人にしか描けない「魅力的な何か」があるからその人の作品を求めるのだと思います。

「自分らしさ」を創造するには?

自分だけの方法で伝えることが大切なのはわかりました!っていうか、わかってました!でもその表現が見つからなくて困っているんだー!

という方も多いと思います。

そこで今回はぼくなりのアイディアの出し方・考え方をご紹介します。
画家歴10年以上、特に目立った技量があるわけでもない僕が、アップデートを続けて多くの方に作品を届け続けることがでた。その理由はアイディアを出し続けられるからだと思っています。少しでも参考になったら嬉しいです。

自分だけの表現を生み出す公式

重要なのはアイディアは要素の掛け算です。
この掛け算をつかえば作品に関する様々な要素を掛け合わせていくことで、自分がどういう作品を作るべきかが見えてきます。その公式とは

好きなこと✖️伝えたいこと✖️時代性=自分だけの表現

これです。今回の記事ではここだけでも参考にしていただきたい!
それくらい大切なポイントです。

自分の伝えたいことを、自分の好きな領域で、時代を意識した表現で行うこと。この式を意識しながらアイディアを練ると自分だけの作品像が見えてきます。項目ごとに少し整理していきますね。

好きなこと

単純に自分の好きなことです。好きな気持ちはエネルギーになります。絵を描く、動画を見る、アニメ、漫画、車、時計、恋愛なんでもいいです。やっていてテンションが上がることが大切です。

伝えたいこと

自分が作品で何を伝えたいのか。例えば、美味しいご飯を食べて嬉しい気持ち、や、約束を破られて切ない気持ち、言葉にできない景色の美しさなど、自分の体験をベースに伝えたいことをたくさん考えていきます。共感して欲しいことと言い換えることもできそうです。

時代性

時代性には「不易と流行」の2つの意味があります。不易はいつの時代も変わらない普遍的なもの。流行は言葉の通り時代に合わせて変化する流行り廃れのことです。普遍性を意識すれば、広い世代からの共感を狙うことができますし、流行に乗ればその時代の流れに乗って爆発的に支持される可能性があります。例えば「不易」なら時間の流れや空の青さなど、「流行」ならSNSやファッションなどがそれにあたります。

これら3つを掛け算することによって、自分だけの表現が生み出しやすくなります。項目は自分なりに変えてもいいかもしれません。掛け算が多くなれば、それだけ他の人にはない要素が増えていきます。(増やしすぎると難解になりすぎるので注意です。)

実現させる手段を考える

作品の方向性が見えてきたらあとは実現のための手段を考えます。
なんのモチーフが適していて、どんな絵柄がいいのか、色彩は?構図は?とさまざまな要素を考えて、自分のイメージを伝えるための最善作を模索します。

このとき「自分がギャラリーでその作品を見たらどう思うかな?」と鑑賞者の目線に立って作品を客観的に考えてみるといいです。作り手でありながら、一番最初に鑑賞するのは作家である自分自身。なので、まずは自分を納得させることから始めましょう。

この段階まできて、自分の中で「GOサイン」が出ればいよいよ制作です。
あとはとにかく集中して、素敵な作品を作り上げましょう✨

おまけ:PIGMENT JEWELRYの制作例

自分の作品「絵具の宝石」を例に挙げると

PIGMENT JEWELRY プリズムホワイト

好きなもの・・・アナログで絵を描く、平面的な表現、キラキラしたもの
伝えたいこと・・作品を通じてワクワクする体験を届けたい。
時代性・・・いつの時代も宝石は美しく価値のあるもの。

「絵具の宝石」作品はこれらの掛け算によって成り立っていると分析できます。

詳しく書くともっと色々と要素はありますが、作品になる前の段階で色々と考案してから制作に入りました。参考になれば嬉しいです

おわりに

いかがだったでしょうか、今回の記事では「好き」だけでは足りない、絵を仕事にしたい人に実践してほしいアイディアの出し方について解説しました。

他の人にはない個性。これは絵画だけではなく、ものづくりをしていく上で大切な要素だと思います。

今回は触れませんでしたがこれは作品制作編、このほかに、同じくらい大切な「作品を知ってもらう努力編」も存在するのですが、これはまた別の機会に。

また次回も制作に関する知識や考え方をお伝えしていきます!
ワクワクしてお待ちいただけたらうれしいです🤲

お読みいただきありがとうございました📚

【予習・復習・知識を深めるために】

芸術闘争論
この記事を書くにあたって、ぼくがすごく共感し、影響を受けた書籍。この本、刺激的なことがいっぱい書いていますが、アートの最前線で活躍する村上さんの制作の進め方や考え方が書かれていて、ぼくはたくさんの制作のヒントをいただきました。別の著書である芸術家起業論も芸術とビジネスの関係を考えるきっかけになる良書です。


佐藤可士和の超整理術
こちらもおすすめです。伝えたいことをどうアウトプットするか。どうやったらわかりやすいのかが、丁寧に順序だてて書かれた本です。実際の体験談も多く書かれていて分かりやすかったです。ぼくはこの本から頭の中の整理の仕方を学べた気がします。デザイナー志望の方でなくともおすすめの名著です。


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