見出し画像

キツネと悪魔の逃走と闘争

 2023年です。しかしながら例年のように介護の世界には盆とか正月の概念がないので、元旦から出勤です。出勤までの間、だらだらと特番だらけテレビを見るのも辛いし、サービスデ―ということもあって、映画へ。うちにはお稲荷さんを祀っているし、元旦から狐の映画を観るのは縁起がいいかも、と『仮面ライダーギーツ×仮面ライダーリバイスMOVIEバトルロワイヤル』を。たぶんお稲荷さんがいなくても見に行ってたと思う、恒例の新旧仮面ライダー共闘映画です。

 普段仮面ライダーシリーズは見ているものの、そんなに熱心ではないので、前作リバイスのあらすじを冒頭で紹介してくれる構成がありがたかった。自分の中に潜む悪魔と契約し、仮面ライダーとなった銭湯経営者一家のそれぞれの人物や世界観、ラストを思い出しました。
 
 映画は前半がリバイス編、後半が現役ライダーギーツ編という構成ですが、もちろん後半にもリバイスががっつり絡んできます。宇宙を支配できるかもしれない悪魔の赤ちゃんをめぐる善と悪、そして善と善の争い。タイトル通り両ライダーに映画オリジナルのシーカ、そしてライダーバトル物の大先輩、龍騎たちも交えた大乱戦、まさにバトルロイヤル状態です。

 ちびっこはかっこいいライダーの共闘が楽しみだと思いますが、いい年したおっさんには制限時間までにトラックで悪魔の赤ちゃんを運ぶという展開がかつての東映正月映画『トラック野郎』を思わせ、狙ってやってるんじゃないか、とニヤニヤしておりました。他にも走行するカーキャリアや電車内、あるいは人気の多い商店街でのバトル等々テレビではあまり見られない映画ならではの戦闘シーンも見どころです。あと漫才師、錦鯉の長谷川さんはアフレコ上手いなぁ、とか。

 いや、何よりもこの映画最大の見どころは、ライダーバトルの影で政治家が暗躍するという『仮面ライダーBlack Sun』を1000倍ほど薄めたようなシナリオではなく、回転寿司屋内でのバトルの最中、敵の放った攻撃で老人が食べようとしていたトロが炙りトロになるという、とんでもなくショーもないシーンではないか、と思うのです。バトルに次ぐバトルにカッコいいライダー、決めきめのセリフたち。そんな中で、あえてカットしてもよさそうなギャグシーンを入れるという勇気。でもそれがあるから、映画に絶妙なリズム感が生まれたのでは、と思うのです。このショーもないギャグ描写、というのも石井輝男や鈴木則文作品、あるいは『不良番長』シリーズのような、かつての東映ギャグを思わせるのでした。ショーもないからこそ入れたほうがいい、無駄の中に宝があるのです。


 入場者プレゼントはカレンダーとギーツの人形でした。一度は離れたものの、なんだかんだと夏と冬のライダー映画を観に行ってるなぁ。パンフにスタンプ押すの忘れた!
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?