山崎@SFSS

NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS) (http://nposfss.co…

山崎@SFSS

NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS) (http://nposfss.com/ )の理事長です。東京大学農学部卒、リスク学者、獣医学博士。食の安全・安心に関わるリスクコミュニケーションをミッションとしております。

最近の記事

紅麹問題から見直すべき食品のリスク評価/リスク管理

“リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は、世の中を大きく騒がせている小林製薬の紅麹製品による健康被害の問題について、これまでSFSSで取り組んできた健康食品のリスコミ事例を含めて考察したいと思います。まずは、29日の小林製薬の記者会見等に関する報道を以下でご一読いただきたい: ◎小林製薬 紅麹問題「プベルル酸」健康被害の製品ロットで確認  NHK NEWS WEB 2024年3月2

    • 著作者人格権侵害の深刻なリスク

      “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回はこれまでも何回かとりあげてきた著作者人格権侵害のリスクについて議論したいと思います。まずは、以下の記事をご一読いただきたい: ◎日本テレビ 芦原妃名子さんが亡くなったことを受け、社内特別調査チームを設置へ  日テレNEWS NNN 2024年2月15日 20:05  https://news.ntv.co.jp/category/societ

      • SNS時代における情報秘匿のリスクは大きい

        大谷翔平のロサンゼルス・ドジャースへの移籍が発表され、史上最高額の契約金や97%が後払いという異例の条件に世間は驚かされているが、大谷選手の他球団との契約交渉過程についての情報はベールに包まれたままだ。MLBの多くの球団は、大谷選手の獲得球団が決まってから、ほかの選手たちとの獲得交渉を本格開始するという事情もあったのだろうから、情報非公開の紳士協定を守っているものと思うが、いずれそういった契約交渉の裏側もメディアが報道するのではないか。 組織にとって重要な情報をトレードシー

        • 風評被害助長因子 漁業者救済が実は品質毀損に?!

          “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は福島原発から海洋放出が開始されたトリチウム処理水に関して、水産物への風評被害がどのような社会心理学的因子に基づいて起こるのかを考察したいと思います。まずは、以下の記事をご一読いただきたい: 漁師みんな泣いている 食の安全浸透したのに  東京新聞 TOKYO Web 2023年8月25日 06時00分  https://www.tokyo-np

        紅麹問題から見直すべき食品のリスク評価/リスク管理

          【SF】STAP OVER ~ゲノム編集食品が世界を変える日~ (3)

          *本小説を最初から読みたい方はこちらより *本小説はフィクションであり、登場する人物や団体名の固有名詞は実在するものではありません。 <第3章> 緒方が発明したスーパーゲノム編集小麦:CNO-21は、世界中で注目され、この小麦を使ってどんなことができるのか、世界中で応用研究が始まった。 この技術の特許権は我々が持っているので、これを応用して小麦を開発した場合には我々の基本特許が有効なはずだが、それよりもこのスーパー小麦を世界中で生産して、早く地球環境に役立ててほしいとこ

          【SF】STAP OVER ~ゲノム編集食品が世界を変える日~ (3)

          毒か安全かは量で決まる

          “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、noteを始める前の過去ブログにおいて、リスコミにおいて知っておくべき重要な原理/法則を解説しておりますので、いくつか再掲しておきたいと思います。 過去ブログ[2013年9月10日火曜日]より抜粋: いま「食の安全」が報道で取り上げられることが多い。 週刊誌やTV番組でも、中国からの輸入食品や食品添加物などが「毒」であるかの議論がなされるが、こ

          毒か安全かは量で決まる

          ハラキリ・コミュニケーション ~日本文化に合ったリスコミとは~

          “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、noteを始める前の過去ブログにおいて、リスコミにおいて知っておくべき重要な原理/法則を解説しておりますので、いくつか再掲しておきたいと思います。 過去ブログ[2015年3月16日月曜日]より抜粋: NHK大河ドラマ「花燃ゆ」を見られた方はご存知かと思うが、長州藩萩の城下町に私塾を開いた吉田松陰(寅次郎)のおもしろいリスコミ・エピソードがあったの

          ハラキリ・コミュニケーション ~日本文化に合ったリスコミとは~

          【SF】STAP OVER ~ゲノム編集食品が世界を変える日~ (2)

          *本小説を最初から読みたい方はこちらより *本小説はフィクションであり、登場する人物や団体名の固有名詞は実在するものではありません。 <第2章>  この緒方晴彦が発明したスーパーゲノム編集小麦「CNO-21」は、瞬く間に世界中のメディアで取り上げられ、「夢の小麦だ」、「Dreaming Wheat」などともてはやされ、世界中の小麦生産者の注目を集めた。もちろん消費者の、いや消費者だけじゃなく、環境団体やSDGsに取り込んでる行政機関など、多くの研究者をも魅了することとなっ

          【SF】STAP OVER ~ゲノム編集食品が世界を変える日~ (2)

          【SF】STAP OVER ~ゲノム編集食品が世界を変える日~ (1)

          *本小説はフィクションであり、登場する人物や団体名の固有名詞は実在するものではありません。 <第1章> 研究者の名前は緒方晴彦。農学博士で植物バイオテクノロジーの研究者だ。 東都大学農学部で植物バイオテクノロジーの博士号を取得して、いまはSDGsみらい研究所の主任研究員。ゲノム編集技術により新たな農作物の品種開発に携わっていた。 2025年4月1日。物語は都内の高級ホテルでの記者会見から始まる。都内East-End Royal Hotelでの記者会見に、東都大学教授の

          【SF】STAP OVER ~ゲノム編集食品が世界を変える日~ (1)

          リスク管理で配慮すべきポイント:『リスクのトレードオフ』

          “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、noteを始める前の過去ブログにおいて、リスコミにおいて知っておくべき重要な原理/法則を解説しておりますので、いくつか再掲しておきたいと思います。 過去ブログ[2014年10月12日日曜日]より抜粋: リスク管理で配慮すべきポイント:『リスクのトレードオフ』 筆者はスポーツ観戦が好きなので、日本のプロ野球やMLBのポストシーズンゲームを楽しむこと

          リスク管理で配慮すべきポイント:『リスクのトレードオフ』

          生成AIのリスクをどう解消する?! ~チャットGPTは明確な著作権侵害

          “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は世界的な議論を巻き起こしているチャットGPTなど、生成AIの社会に与えるリスクをどう解消すべきかについて議論したいと思います。まずは、以下の記事をご一読いただきたい: チャットGPTで注目 「生成AI」とは? ~なるほドリ・ワイド  回答・大久保渉 毎日新聞 2023/5/14 https://mainichi.jp/articles/202

          生成AIのリスクをどう解消する?! ~チャットGPTは明確な著作権侵害

          事故が起こってからでは手遅れだ~「ひやりはっと」にリスク評価のヒントあり

          “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は、リスク評価のタイミングとして「ひやりはっと」が非常に重要なヒントになり、事故防止のための綿密なリスク評価/リスク管理とはどうあるべきかについて解説したいと思います。まずは、以下の記事をご一読いただきたい: 警官が屋上から目を光らせ、来場者は身体チェック…首相襲撃受け選挙演説の警備強化 読売新聞 2023/04/17 14:36  https

          事故が起こってからでは手遅れだ~「ひやりはっと」にリスク評価のヒントあり

          フードテロのSNS愉快犯に要注意~食品事業者はフードディフェンスの体制構築が急務

          リスクの伝道師、SFSSの山崎です。今回のブログでは、昨今頻繁に外食チェーンにおいて発生している、悪質な利用客による不衛生行為のSNS拡散について解説したいと思います。まずは、以下の記事をご一読いただきたい: 「数千万円単位の損害賠償請求は考えられる」  自らも飲食店経営、専門弁護士が語る不適切動画問題  産経ニュース 2023/2/20 11:56 浅野 英介  https://www.sankei.com/article/20230220-TUHG2X47BFGZFHZ

          フードテロのSNS愉快犯に要注意~食品事業者はフードディフェンスの体制構築が急務

          「遺伝子組み換え食品の恐怖(鈴木宣弘氏)」⇒「フェイクニュース(レベル4)」~SFSSが文藝春秋創刊100周年特集(2023年1月)をファクトチェック!~

          遺伝子組換え作物が世に登場して約30年、いまでは日本が輸入する大豆・とうもろこしなどの大半が組換えDNA技術により品種改良された農作物のはずだが、我々が目にするのは「大豆(遺伝子組換えでない)」といった食品表示ばかりなのは何故だろうか。「無添加」「保存料不使用」「無農薬」などと並んで、その食品に含まれない成分をわざわざ任意表示することで、いかにも「安全な食品ですよ」と誇張するマーケティング・バイアスは、一般消費者のリスク誤認を助長してきた大きな社会問題だ。  我が国に流通す

          「遺伝子組み換え食品の恐怖(鈴木宣弘氏)」⇒「フェイクニュース(レベル4)」~SFSSが文藝春秋創刊100周年特集(2023年1月)をファクトチェック!~

          どうする?マスク

          リスクの伝道師、山﨑毅です。 政府は2月10日、新型コロナ対策としてのマスク着用について、来月13日から「個人の判断」に委ねる方針を決定したとのこと:  そもそも日本国内ではマスク着用自体が法的義務になったことはなく、もともと任意であったが、新型コロナ感染症が2類相当だったために、公共施設や公共交通機関における感染防止対策に協力する義務があり、施設管理者が指定した感染防止対策として、マスク着用や入場前の検温・手指消毒があれば、それに従う努力義務があったという感じだろうか。

          どうする?マスク

          組織の信頼回復に必要な姿勢とは~迅速な謝罪会見(潔さ)と誠実性(隠蔽しないこと)~

          "リスクの伝道師"SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は消費者市民の「食の安心」にとっても重要な必要条件となる「組織の信頼」について議論したいと思います。まずは、京都府宇治市で起きたO157による食中毒事故の記事を以下でご一読いただきたいが、この事故で亡くなられた方に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、食中毒被害に遭われた患者の皆様にもお見舞いを申し上げたい: ◎京都・宇治のO157食中毒死「レアス

          組織の信頼回復に必要な姿勢とは~迅速な謝罪会見(潔さ)と誠実性(隠蔽しないこと)~