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【591/1096】味覚のこと

このところご飯がおいしい
何を食べてもすごくおいしく感じる
そうか 味覚も戻ってきたのだ

味覚がおかしいなんて
まったく思っていなかった
それなりにおいしく食べてきたし
おいしいものを食べると
もう食べることのないきみに
罪悪感だってあった

いままでは死なないために食べてきた
いまは生きるために食べている
そういう心持ちの変化が
影響しているのだろうか
なんにしても食べ物がおいしい
甘みも旨味も舌の細胞に
じんわり沁み込むように
おいしさを感じる

「おいしいおいしいって
食べてくれると嬉しいね」
作ってくれた人が言っていた

残さず食べるが正解の世代
小さいときから
好き嫌い関係なくなんでも食べた
好きでなくても食べられるし
おいしくなくても食べられる

すごくおいしいものを食べて
舌が肥えると
ほかのものは食べられないとか言うけど
わたしは全然関係ない
どんなものでも
目の前のものは残さずいただく
毎日作るひとになってからは特に
ご飯があることがありがたい

味覚が戻ったとしたら
今まで作ってきたご飯
大丈夫だったかな?
一応 味付けには注意していた
ホルモン変動があると
塩味がわかりにくくなるし
メンタル的にも
たくさん作れるわけでもないので
せめておいしくと
味付けは慎重にしていた
今は前よりも
味が立体的にわかる気がする

そう 味が立体的
すこし前までは平面的な味だった
平面から立体への移行は
世界が広がる 深まる感じ

味覚障害が
のこる病の方の話を思い出す
味がしない 香りがわからない
そこまでではなかったけど
失われていたものがあったんだな
気づかなかったことに驚くし
やはり身体にもなにかしらの
影響があったのだなと
納得する気持ちもある

食べ物がおいしいって
ありがたいことだし幸せなことだ
そのままを感じられるよう
すこしずつ変わってきている自分に
感動した

いろんなバランスで
保たれていた緊張が
いろんなものにより溶けてきている
そんな時間の流れを感じる

生きることに疑念を抱いてきた日々
その先になにがあるかは
わからなかった
生きてきてよかったのかもしれない
そう思えるだけ今はましになった

いつからでも始められる
あきらめることはないのかな

いつもありがとう
残された者の日々