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【581/1096】夢で会う

命日が近づく
また夢を見た
夢の中で夢でないことを
何度も確認し何度も抱きしめて
よかった
会えてよかったと思い
目を覚ます
それもまた夢で
夢の中で夢から覚めて絶望した

その続きの夢でもまたきみはいて
今度こそ夢でないことを確信し
ああ よかった
もう消えちゃダメだよと
何度もくり返し 何度も抱きしめる
夢の中でまた目が覚めて
きみが消えていないか
急いで確認しに行って
まだいた よかったと安堵して
また目が覚める

そのあと 夢の中のきみが
実は別人だった という夢も見た
下の子が なんかちがうよね
と言ってやっと気づき
自分がその人に問い詰めるみたいな夢
嘘でもいいから
いてほしかった
騙されてもいいからいてほしい 
そんな自分の気持ちを知る夢だった

夢の中の光景がまだ残る
今のうちにことばにしないと
夢はなぜか忘れ去られる
きみを何度も抱きしめたけど
それは生きているときにすべきだった
今さらできない
もういないんだ

夢の中のきみは物静かで
申し訳無さそうにしていた
幼いきみのではなく
あの頃のままだった
とてもリアルだったから
まるで夢じゃないみたいだった

きみが消えた当時の
目が覚めるたびに
またこの現実が始まり
これが現実であることの
あの深い絶望を久しぶりに感じた
そうだった これが現実
どんなに穏やかな日をすごしても
急に底へ突き落とされる
真実を忘れるなと突きつけられる
贖罪

きみはいまどう思っているんだろう
やっぱり消えてよかった?
ちょっと早すぎたとかないのかな
苦しみは消えて
しがらみもなくなり自由だね
きみが幸せであってほしい
ほんとは生きていてほしかった
ともに乗りこえたかった
悲しいけれど
夢の中で会えてよかったんだろう

生きてる人を大事にしないとね
自分のことも大事にしないとね

いつもありがとう
残された者の日々