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四季彩事典 2月

黄みの白 : 練色(ねりいろ) / エクリュ


 色は光のあるところでしか見ることができません。
 光とは電磁波つまり波動の一種です。その波動の中の「可視光線」が物体に当たって反射、吸収、透過する際の色々な波長を私たちの脳が色として認識します。

17世紀末、物理学者のニュートンが
レンズを通る太陽光が屈折することで
「無色の光」が「無数の色」に分光されることを発見しました


 全ての光が反射して見えるのが白です。この物体が白い服地である場合、光線は吸収されずに布目を透過して私たちの体に届くのです。適度な紫外線は健康のために必要です。(反対に紫外線を防ぎたい場合は、光線を吸収する黒の布地が有効です。でも温度は高くなります)

 上記のように紫外線の殺菌効果を最大限に利用できる白は、汚れが目立ちやすいという意味でも清潔を保つには最適の色です。
 そこで思い浮かぶのは白衣です。

医療用の白衣が登場するのは19世紀後半頃。それまでは菌の繁殖によって病傷が悪化するという概念がなく、不潔な環境が症状を悪化させていました。ところが 近年になって衛生環境が整ってくると、今度は白の持つ冷たさや緊張感が敬遠されるようになり、淡い色の白衣が登場するようになりました。

 暦の上では2月は初春ですが、実際には1年の中で一番寒い時期です。身体の抵抗力が落ち風邪などが蔓延するために、白の効果を利用したいところです。でも実際に生活空間での真っ白という色は前述のように心地よい色ではありません。そこで少し色みのある白をつかうことをお勧めします。

 特に明るいベージュもしくは黄みがかった白は、筋肉の緊張を緩めるので寛げる一番の色です。頻繁に模様替えが出来ない部屋の内装などには、コーディネートのしやすさという点でも最適です。

 練色は、絹の生糸を漂白する前の練糸の生の色。“生成り色”のほうが馴染みがあるかもしれません。絹は生糸の段階では艶がなく硬いため、科学処理の技術がなかった時代は手でよく練り込んでいました。これが練糸という言葉の由来です。

 エクリュは、フランス語の「生(き)の」という形容詞が原語の色名です。 

 気候は寒いけど冬物の黒っぽい衣類は重たい、というこの時期に、暖かい素材の白っぽい衣類があると、季節の先取りも楽しめて重宝します。

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