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あの日─3月11日─

下の記事のタイトルと『NHK』という文字を見て、心臓がドクンとなった。何の事を書いた記事なのか、すぐに分かった。

少しずつ、スクロールして読んだ。あの日の事がストレートな文章で、詳しく綴られていく。苦しい。目の前がにじんで文字がよく見えない。涙が止まらなかった。

私は東北出身でもないし、住んでいた経験もない。離れた場所に暮らす人間だ。
だけど、あの日。あの時の感情の変化は強烈に覚えている。今も思い出すと泣いてしまう。
当事者じゃないのに、もっと辛い経験をした人がたくさんいるのに、私が泣くとか、おこがましいのは分かっている。
ただの泣き虫で、弱っちい母親だ。

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あの日、私は勤めていた会社にいた。デスクワークだったので、自分の席に座りながらパソコンを見ていた。

ゆーらゆーら…

めまいのような、頭がぐらぐら回るような感覚がした。「これは、おかしい」と思って顔を上げると他の人も違和感を感じているようだった。

ゆーらゆーら…

長く、強くなっていく。大きな横揺れ。
「地震だ…!!」と誰かが言った。

私の住んでいる地域は、とくに大きな被害も無かったので、揺れがおさまった後「いつもの地震とちょっと違う揺れ方だったね~」なんて、隣の席の同僚とのん気に言っていた。

先輩が「東北~関東が結構揺れたようだ」と教えてくれた。
そちらの地域に親戚や友人のいなかった私は、それ以上の情報を調べようとはせず、仕事を再開した。

仕事も終わり、帰宅後テレビをつけると、見たことのない映像が流れてきた。

津波が、街の全てを覆い、流していく。

私はただ呆然と見ていた。
思考が、追い付かない。

なんだ、これは。
現実に起こっている事なのか?

まるで現実味が無かった。映画のワンシーンを見ているかのようだった。

繰り返し、繰り返し、テレビで流れる津波の映像。

何回も    見て。  見て。   見て。
現実だと理解した。

だめ。やめて。もうやめて。

あの日、私のお腹には赤ちゃんがいた。第一子の娘だ。出産予定日は5月で、だいぶお腹も大きくなっていた。

妊娠中で情緒が不安定だったのかもしれない。
あの津波の中に、私と同じような妊婦さんや、赤ちゃんがいたかもしれない…と思うと、ただただ 涙が止まらなかった。
震源地が違ったら、もしかしたら、あの波にのまれたのは自分だったかもしれない。真っ黒な海が迫ってくる。なんという恐怖だろうか。あの日たくさんの人々が、波にのみこまれた。これは現実だ。

泣いた。
めちゃくちゃ泣いた。

昼間「たぶん大丈夫でしょ」なんて、楽観的に考えていた自分が情けなかった。

あの日の感情が強烈過ぎて、実はその後の記憶があまり無い。

毎日のように流れる津波の映像。水が引いた後の現場の様子。何度も流れる同じCM。

テレビを見るのが辛くなってしまった事だけ覚えている。

あの現場を報道していた人が、先ほど読んだ記事のように考えていたなんて、この10年間微塵も想像した事が無かった。
ロボットがあの映像を撮ったわけじゃない。あたりまえだけど、そこには人がいた。テレビには到底映りきらない。それぞれの人が、それぞれの思いを抱えて生きてきたのだと、知る事ができて、良かった。

あんなに大変な事が起きたのに、離れて暮らしている私は、いつもと同じ日常を過ごす。

これで良いのだろうか。と、ふとした瞬間に思う。何が出来るわけでも無いのに。

あの日の約2ヶ月後に生まれた娘は今年で10歳になる。この10年、日本各地で大きな地震や自然災害が起きた。
私にできるのは、いつ起こるか分からない災害に備える事と、テレビの震災特集に思いを巡らせ、黙祷する事。被災地の野菜や果物、魚をスーパーで買うくらいだ。

特別な事は何もできないけれど、今は、毎日を大事に生きたいと思う。

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すみません、衝動的に書いたので読みにくいかもしれません。どうしても吐き出したかった。
不適切な発言などありましたら、削除させていただきますので、ご連絡ください 。

今までいただいたサポートを利用して水彩色鉛筆を購入させていただきました☺️優しいお心遣い、ありがとうございました🙏✨