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NICOと私と(2):新しい世界へ

前回の話

悶々として鉛みたいな心を抱えて生きていた私が大好きなバンドに出会ったという話を書きました。今回はその続き。

新しい世界へ

NICO Touches the WallsのDiverという楽曲にこの上なく救われた私は、そこからどんどん彼らの世界に惹き込まれていきました。

まずDiverの収録されたアルバムを買うところから始まり、その後の新譜はもちろん、過去のアルバムを買い集める。何なら特典DVDが違うからって同じシングルを2枚買うまで…。ロックはうるさいからと言って全然聞かなかった私が、必死でロックバンドのCDを買い集める日が来るとは夢にも思いませんでした。

そうしてCDを買いまくって、色々な時期の色々な楽曲に触れました。ゴリゴリにロックな曲もあれば、バラード調の曲もあるし、聴くからに鬱屈とした雰囲気の曲もあれば、底抜けに明るい曲調のものも…。そして、そんなNICOの曲たちはいつも自分の心に寄り添ってくれるように感じていました。どんなに明るい曲でも、どこか器用に生きられねぇ感がある。個人的にはそんなところが特に好きで。NICOのおかげで自分の不器用さを少しずつ受け容れられるようになった気がします。

あとはCDのほか、MVはもちろん、CDリリースのたびに上がっていた企画動画やインタビュー動画も見あさり、雑誌に掲載されたとなれば本屋に駆け込む日々。連載のあった雑誌は毎号買っていたっけ。

そして、ドラムの対馬さんが出ているからという理由で、「爆裂★エレキングダム!!」という、今となっては誰が知ってんねんという番組(いや失礼。知ってる人もいます…よね。)を一生懸命観ていたのもいい思い出です。

正直、それまでの私はアイドルとか俳優さんとかにハマることがなく二次元の人間にしか興味がありませんでした。なので、自分もこんなに三次元の人間を好きになれたのかと驚きでもあり嬉しくもありました。

そうやってNICOを追いかけているうちに、自然と他のバンドも知るようになりました。雑誌に載っていたり、同じ番組や音楽チャンネルなんかに出ていたり。NICOと対バンしていたり同じフェスに出ていたり。これまで知らなかった邦ロックの世界が拓けていったわけです。

そして、NICOを好きになってからずっと心に決めていたのが大学で軽音部に入ってギターを始めるということ。これまたNICOと共に受験を乗り切り晴れて大学に進学した私は、新歓シーズンに他のサークルに一切惑わされることなく、一直線で軽音部に入部しました。ビビリのくせに誰も知り合いがいない新歓にひとりで乗り込んでいったという…。今となってはよくやったなと思います 笑。

軽音部に入れば、それこそ色々なジャンルの音楽に詳しい人がたくさんいるわけで。友達や先輩に教えてもらったり、バンドで演奏したり、触れる音楽の幅はまた随分広がりました。軽音部に入らなければ知ることもなかっただろう音楽やアーティストは本当にたくさん。そして軽音部で出会った人たちも同じ。NICOがなければ出会えなかった人、音楽は数知れません。

肝心のギターは大して上手くはなりませんでしたが、今でも趣味程度には弾いています。それに、軽音部ではいつの間にやらギターボーカルをやるようになり、別に大舞台ではないですが、学祭のライブとか、それなりに人前で歌を歌うようにもなりました。恐れ多くも、NICOのコピーバンドをやった時も私はギターボーカルでした。引っ込み思案で人前に立つような人間ではなかったですが、これもNICO愛のなせるわざ…。

あともう一つ、大学に入ったら…とずっと楽しみにしていたのがライブ(逆にそれまで我慢していたのが今思うともったいないけど!)。地元関西に来るのが待ちきれず、初ライブ参戦は名古屋でした。その時はホールだったし、チケット取ったのも随分遅かったのでめちゃめちゃ遠く2階席から眺めていたけれど、それでも目の前にずっと会いたかった人たちがいると思うと嬉しくて仕方ありませんでした。

それからはホールもライブハウスも色々なところに行ったし、武道館にも。チケットのタイミングで初ライブや武道館は遠くからでしたが、ファンクラブに入り、だんだんチケットをすごい勢いで取るようになり、ステージの間近でライブ参戦できることも多くなりました。目の前で観られたときは本当に嬉しかったです。「あ、今目が合った気がする!(気のせい)」とかよく思ってなぁ…笑。

そういうわけで、ロックも三次元の人間も興味がなかった私が必死でロックバンドを追いかけるようになり。地味で引っ込み思案な私がギター始めてボーカルまでして人前に立つなんてことをするようになり。NICO Touches the Wallsというバンドは、かつての自分が想像だにしなかったような世界に連れて行ってくれたなぁと。今振り返ってみても、そう思います。

そして、当時の私は、そんな日々がずっと続くと信じて疑いませんでした。

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