見出し画像

事業と給与の区分基準 ~ 判決事例から ~

 
 

 最高裁判決における給与所得と事業所得の判断基準をみておきましょう。  
 給与であるか、事業であるかを考えるうえで重要なキーワードが含まれています。

給与所得とは


 最高裁判決では、給与所得の判断基準を「雇用契約、または、これに類する原因に基づき、使用者の指揮命令に服して提供した労働の対価として使用者から得る給付」であると示しています。
 所得税では、会社のことを「使用者」、働く側を「使用人」と古めかしい言い方をします。 

 また、「給与支払者との関係において、何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務または役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない」とされます。

 
 所得税法での給与所得とは、給料、賃金、賞与のほか国会議員の給与などをいいます。また、役員や理事は雇用契約ではなく委任または準委任契約とされますが、これらの人が受ける報酬も給与所得に含まれます。


事業所得とは


 一方で、事業所得は、「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性および有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」をいいます。

 具体的には、製造業、卸売業、小売業、農業、漁業、医療保健業、著述業その他のサービス業などの「事業」から生じる所得です。

 独立して、かつ、反復継続して行う経済活動で対価を得ているならば、その仕事の規模を問わず、事業所得者となります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?