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この子のお名前なんてぇの?

コロナ禍前は毎年、子供の長期休み中、お父さん罪滅ぼしの為に職場で日帰りバスツアーを開催していた。
激務の中、それでも子供たちに夏休み冬休みの思い出を作ってあげようと職場で企画していたのである。
そこそこ長距離移動するので、怪我をしたりしたときの為のレジャー保険をかけているのだが、必ず家族全員の名前を記載させて

ふりがな

を必ず書くように指示はしている。
が、やはりふりがなを忘れる人が少なくない。
保険会社からは必ず「ふりがな」をつけるように言われているので、本人に書き直させたり私が付け足したりしていたのだが、連絡が取りにくかった人などいて困ったことがある。
困りごと、それはお子さんの名の呼び方である。
インターネット上、やれキラキラネームだのシワシワネームだの揶揄されてはいるが、実際にキラキラネームを前にして

oh!・・・

とした言えなかった。
読めない。申し訳ないのだが読めない。
親御さんが心を込めてつけられた名前がどうしても読めない。
親御さんなら名付け親でもあるので聞いたら即答してもらえるが、中にはお子さん家族と参加する人もいて「孫の名前?〇〇だけど。え?間違ってる?」みたいな人もいた。
毎年毎年夏冬翻弄される。

昭和時代、トニー谷という偉大なる芸人がいた。
観客席にいるお客さんに

「あなたのお名前なんてぇの?」

と算盤をかき鳴らしながら聞くのである。
毎年夏冬、まさに私がそのスタイルで仕事をしていた。

「この子のお名前なんてぇの?」

と聞いて回る。
算盤はまだ使っていない。
ザンス。


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