【3分解説】サイクル投資②(長期利益成長が見込まれる業界)

・【3分解説】長期潮流で成長する地域・分野への投資①では、ETFでの投資と、投資地域としては先進国の上場株が候補になる、という点をご説明しました。

・ここでは、ETFで具体的にどういった企業群に投資をすればいいのか、ということをご説明します。

・ETFで投資するということは、一定のテーマ(業種、高配当、成長株、小型株など)に沿った企業の集まりに投資することです。
・では、どういったテーマに投資するべきか、と言えば、それは長期的に利益成長が見込まれる業界になります。短期的な株価の変動を繰り返しながらも、サイクルを慣らしてみれば株価が上昇している業界です。

・では、長期的に利益成長が見込まれる業界とは、一体どういうところなのでしょうか。
・利益=売上×利益率ですから、売上が長期で成長し、かつ長期で高い利益率を維持できる業界になります。

長期で高い利益率を維持
・まず、長期で高い利益率を維持できる点についてですが、利益率が高いということは、どういう状況を指すのでしょうか。
・それは、ライバルが少ない=少数の企業が圧倒的なポジションを築いているということです。ライバルが多ければ、相手よりも売上を稼ぐために価格を引き下げて販売数量を伸ばそう、とするインセンティブが働きます。
・そして、利益率が高い=ライバルが少ないという状況が長期で続くということは、他の企業が参入しづらい業界、ということを意味します。なぜなら、利益率が高ければ他の企業はその業界に参入したい、と思うはずですが、何らかの参入しづらい理由があるからこそ、参入できず利益率の高い状況が保たれているわけです。この参入しづらい理由を参入障壁と言います。
・参入障壁には、資本力、ブランド、技術力、標準化、などがあります。そして、これらが単体ではなく、複数組み合わさることで、より強固な参入障壁が出来上がることになります。
・例えば、マクドナルドは資本力を背景に広告を打ち、消費者の認知率を高めることで(ご飯を食べるシーンでマクドナルドを思い出す)することでブランド力を維持しています。また、やはり資本力を背景に、食材の調達・製造から店舗での商品提供までオペレーションの標準化を実現する環境を構築・維持し、圧倒的な生産性を実現しています。
・つまり、資本力を背景として複数の参入障壁を通じて高い収益を稼げば、さらに資本力が増すことで、参入障壁が一層高まる好循環が生まれるというわけです。つまり、資本力は参入障壁の中核とも言えます。

長期で売上が成長
・次に、長期で売上が成長する業界はどのようなところでしょうか。例えば、半導体や風力などの再生可能エネルギーでしょうか。ですが、こうした業界は政府の方針変更などで市場は大きく変わりうると思います。化石資源にはどれだけ投資を続ける・あるいは利用を認めるのか、あるいは再生可能エネルギーの分野への投資にどれだけの金額の補助金を出すのか、あるいは安全保障のために特定の国から部材は調達しない、といったように、政府の方針次第で将来のシナリオが大きく分岐する可能性があります。

・では、長期で変わらないもの、あるいは一定のペースで変化が見込まれるものとは何でしょうか。
・大きく分けて、①豊かな人口増加、②長寿命化、③人間の本質(生存欲求)が挙げられます。

豊かな人口増加と長寿命化
・世界には経済発展を続ける新興国が多く残っていますので、こうした国は社会インフラが整備されて安全になり医療サービスへもアクセスできるようになることで子供の死亡率も低下し、当面は人口増が続いていきます。一方で、経済発展につれて教育資金を集中させて将来のキャリアを支援したい、といったニーズを背景に出生率も低下しますので、人口増加自体は頭打ちにはなります。ただし、より重要なことは、既に社会インフラの整備が進んだ東南アジアの諸国を中心として、豊かな新興国の人々が増えていく、ということです。
・豊かになることで、衣食住に対する消費も単価が上がり、市場が伸びていくと言えます。
・また、人々が豊かになることで食生活・医療サービスの充実を通して寿命も延びていきますので、健康を維持するための医薬品・フィットネスなどヘルスケアサービスへの需要も高まっていきます。

人間の本質(生存欲求)
・時代が変わっても変わらない、人間の本質的な性質とは何でしょうか。社会の文化や慣習・趣味嗜好といった表面上に表れる人間のありようは時代ごとに変わります。
・ただ、生存欲求、つまり生存したいという欲は太古の昔から今の現在まで変わらず維持されているものです。
・この生存欲求は、①物理的な生存欲求、②精神的な生存欲求、③社会的な生存欲求に分けられます。
・①物理的な生存欲求は、食生活やフィットネス、医療サービスを通して、自身の肉体面の充実を通して生存確率を上げようとするものです。
・②精神的な生存欲求は、仕事のスキル向上や趣味の追求などを通じた自身の精神面の自己実現・達成感を得ることで生存確率を上げようとするものです。
・③社会的な生存欲求とは、家庭、会社、趣味の集まりなど、何らかの社会集団に属して、社会における自身の存在感を強めることや、社会集団自体の勢力拡大への貢献を通じて、自身の生存確率を高めようとするものです。
・過去大きく成長したGAFAといったITのプラットフォーマーが作り出した価値で言えば、グーグルの検索は情報収集の高度化・知識拡充を通じた②の精神的な生存欲求、フェイスブックのSNSは③の社会的な生存欲求、アマゾンは極めて利便性の高い商品購入を通じた①の肉体的な生存欲求、に応えているといえます。
・そして、こうした本質的な性質に根ざした商品への需要もまた、時代が変わっても長く継続すると言えます。

・以上から、長期的に利益成長が見込まれる業界の必要条件が洗い出されたのではないでしょうか。
・それは、参入障壁構築の核となる資本力があり、豊かな人口増加・長寿命化・人間の本質(生存欲求)に根ざした需要に対応できる商品を提供する業界、といえます。
・具体的には、先進国でグローバルに展開する資本力のある企業で、生活用品・ヘルスケア・ITプラットフォームを展開する企業群です。
・では、どのようなETFが投資候補となるかについては、以下でご説明します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?