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100円で買ったのは【ガラクタ】か【ダイヤ】か?

「あら、あたな」
「今日も来てくれたのね」

昨日に引き続き、柔らかい笑顔のおばあちゃんが杖をつきながらお店に迎え入れてくれた。
昨日と違うのは髪型。昨日は結い上げたていたロマンスグレーの長い髪をおさげにしている。
素敵だ。

今日、わたしはこのお店にガラクタか、ダイヤを買いに来たのだ。

【わたしが買い物に来たのはなぜか?宝物を買えるかもしれないのだ】

店に足を踏み入れるとき、緊張した。

昨日みたいに満席なら長い時間の滞在はご迷惑になる。
ここは喫茶店なのだから。
ベースのお商売をじゃまするわけにはいかない。

時刻は、土曜日の午後2時。

今日はお店にはお客様が0だった。
少しほっとしたのも束の間
もしかして、営業時間外にきてしまったのか…。

よく見るとテーブルに一人分の食べかけの食事が並んでいる。

あっ、おばあちゃんがお店が一段落して一人で遅くなったランチを頂いていたんだ。

「お食事中にすみません」

「いいのよ。営業時間だから。」
「もう食べ終えるから、どうぞゆっくりお好きなものを見ていってちょうだいね。」

申し訳なく思ったけど
「ありがとうございます、お言葉に甘えて見せていただきます」

昨日、目星をつけていた腕時計を早速探した。
まだ、あった!

やっぱりわたしには今日もどう見ても文字盤がダイヤに見える。
ゴールドのベルト部分の色しみが気になるがお値段なんせ100円。
今日は買う!と決意して来たのだ。

ぎゅっと時計をにぎりしめる。
うん。運だ。

「おばあちゃん、これ下さい。」

お食事はもう済んでいたのを確認した上で声をかけた。
さっき背後でおばあちゃんの
「ごちそうさま」が聞こえたのだ。

声につられてチラッとみたら、一人のお食事にもきちんと手を合わせて少し頭を下げながらごちそうさまの所作が見えた。
また素敵だと思った。

「じゃあ、200円ね」

なぜ200円かというと時計を探し終えたあと、ハンカチコーナーでピカソのハンカチを発見し、それも一緒に買ったのだ。

これも100円(腕時計とハンカチが同じ値段…)

本を持つ女

「袋を探すわねー」と言うから

「そのままで大丈夫です」と伝えたけど、

「お店の中で一番かわいいのがいいわね。フフフ。」
フフフには弱い…ニコニコしながら袋を探してくださるから断れない。

丁度、腕時計とハンカチが入るミッキーの袋に入れてくださった。

おばあちゃん、本日3回目の素敵だ。

お店を出て家に帰る時間が惜しくて、一番近くの公園まで自転車をかっ飛ばし!ベンチに腰掛け時計を出してみる。

今は便利な時代だ。
iPhoneがあればなんでもわかる。

わたしの買った時計がズラーと画面にと出てきた。


なんと!

アンティークではなかったものの、その時計
ほんとうに、ほんとにダイヤだった。

ワナワナしてすぐ主人に腕時計の写真とダイヤを裏付ける画面をスクショを送信。

主人から秒で返信が変えってくる。
目利き力!素晴らしい

わたしからの返信を送る前に立て続けにもう1通が届く。
メンテナンスはぜひ当店へ

そのメールを受けてわたしの返信
なにとぞ


ここで説明しよう。

主人はとある特殊能力者なのだ。
この世に存在するモノと会話ができるらしいのだ。

メーカーが匙をなげたような家電でも外車内装の電気系統でも音楽機材でもスピーカーでもPCでもスマホでもそのモノの寿命じゃないかぎりは絶対に治すを信念に持っている。

だからわたしは時計が壊れていようが、バンドが色じみしてようが安心して100円で時計が買えた。
問題はダイヤか否かだけなのだ。

ものを買う時の基準はいつだってそう。ジャンク品でも現状商品でもオールオッケー!

主人の魔法にかかれば何でも息を吹き返すのだから。

主人の修理時の口ぐせは
「ボクの手にかかるとモノはなかなか成仏させてもらえない。」

我が家にある家電は、3回の引っ越しを経ても当初から17年メンバーチェンジがなし。永遠のスタメン。

帰宅して、わたし専属メンテナンサーに腕時計を託す。
メンテナスタイム中にわたしは子どもの習い事のお迎へと再び外出。

その道中に届く、主人の部屋からのメンテナンス速報。

上磨き済み、下はこれから
背景との差(ゴリラみたいな手)がより商品を際立たせております


時計の内臓がこちら
電池の在庫もございます
時計の土台もございます


完成
こちらは祖母の代から受け継いだ
貴重な百円のお品物とお伺いしております。

舞台女優みたいな時計ちゃん


リビングに置いてときます
泥棒きたら絶対に持って行くと思うわ。


ここで主人からの速報が終了。

帰宅して、リビングに置かれた生まれ変わった時計をみつけて感激。

100円のダイヤの時計

今日、嬉しくてお風呂を上がってからもずっとつけてた。

主人は修理名人。
わたしは掘り出し名人。

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