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離婚の話の話

 ここ最近離婚の話を聴く機会に恵まれている。連続である。東京だから?関係ないか。個人個人の詳細はもちろん書くわけにはいかない。だからここでは「離婚の話の話」を書く。

 僕に離婚の話をしてくれたのは皆男性で、その内容はそれぞれに大変面白く、そして悲しく、そしてその話し方にはそれぞれに深い味わいがある。
皆が離婚のことを、それぞれの形で一つの「面白い話」に練り上げている。
男たちは肩を落とし、驚き、戸惑い、そして悲しい笑いをうかべながら離婚を語る。
勿論面白い。
基本的には離婚に関して語る際は失敗談として、である。
失敗談というのはたいてい面白いものだ。
離婚そのものは「失敗」という風に一概に言えない複雑な性格を持っていることが多いのだろうが、それでも僕に話を聴かせてくれた人たちは失敗談として、面白い話として聴かせてくれる。
そのように話をする裏には「面白い話」にして人に話を聞いてもらいたいという気持ち。話を聴いてもらって傷を嫌そうとする様子も垣間見える。哀愁に対する好感が沸々とする。

僕はまだ離婚はしていないが、すべての婚姻者がそうであるように自分がいつそうなるかはわからず、もしもその時が来たならば、僕もきっとそのように話をするのだろう、と思う。その時にこんな風に素敵に話ができるかしら、と思うが、今のところ打率10割で面白い話を皆素敵に話をしてくれるので、離婚が人をそうさせるのかな、ともおもう。
不穏当なことを言うと、それならば離婚も悪くないかもしれない。
まあ、面白い話がええ感じでできる、ということが気休めにしかならいないくらいには離婚をしたくないわけだが、何らかの状況になった時には最後に背中を押してくれる優しい追い風くらいにはなってくれるかもしれない。

 しかしこうなったらもうどんどん離婚の話は聞いていきたい。いろんな人の離婚の話を聴いていきたい。いろんな男がどのような離婚を経てきたか。幸いにも僕の年齢が上がっていくことによって、20代の頃よりも離婚しているくらいの年代の人々と話をすることが増えてきた。離婚適齢組の方々との交流増である。だからたぶんこれからも離婚をした人と出会って話をしてくれるならばとりあえず話をじっくり聴く体制にはなろうと思う。その価値が僕にとって離婚話にはある。
もちろん知らない人が急に離婚の話をしてきても、これは楽しいだろうと思う。離婚話で広がる友達の輪ッ、てこともあるかもしれない。新しい離婚の話を求めている人だと思って話しかけてくれたらよいと思う。

 女性はどうなんだろう。女性から離婚の話を聴いたことはあまりないかもしれない。いや、女性と話をする機会が男と話をする機会よりもてきめんに少ない、という事情もあるのだけれど。離婚話の展開、話しぶり、練り上げ方に男女の差があったりするんだろうか。
或いは男性間、女性間でも浮気をしたされた借金を作った作られただましただまされた、などで差があるんだろうか。完全に自分の加害によって離婚になった人は(そういう人が離婚話をするかどうかはわからないが)どんな話しぶりになるんだろうか。興味は絶えない。僕もそういう話が聴ける年代になってきた。年を取るということには思いもよらぬメリットがあるものだ。


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