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「陽炎座」 鈴木清順監督作品(4K デジタル完全修復版)

「ツィゴイネルワイゼン』に続いて公開された1981年作。
泉鏡花の小説を下敷きにした作品で、大正時代の日本の伝統と西洋文化の影響が、混ざり合い、洗練と猥雑が混ざりあい、清順ワールドが、前作以上にダイナミックに極彩色に展開さえています。そこに描かれるシンボル、モチーフ、メタファーは深読みをすればするほど、迷宮に迷い込みそうですが、おそらく監督のひらめきと遊び心と考えても大変楽しめます。
いつもの清順組のスタッフに加え、美術に円谷プロを経て、実相寺昭雄監督の「無常」「曼荼羅」などの担当した池谷仙克が、この映画にさらなる絢爛さを与えています。
大楠道代のファム・ファタール的妖艶さ、動く演技をさせてもらえなかったアクション・スタ松田優作。
1981年というバブルに向かう途上の芸術に潤沢な資金が回り、はじめて描くことができた、ファシズムに向かう前の爛熟たる大正文化の死臭を醸し出す贅沢さ。
カメラマンが清順監督に聞かれた言葉
「頽廃的なライティングってどうすんのかね?」


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