第100回箱根駅伝エントリーチェック

第100回箱根駅伝のエントリーが締め切られ発表になりました。
こういう記事を見る時には、「誰がエントリーされているか」というより、「誰がエントリーされていないか」を見るのが駅伝ファンの常です。なので、ここではそういう視点から色々とコメントをしていこうと思います。
旧Twitterに主なエントリー外選手をまとめてくれている人がいますので、それを引用してコメントしていきます。
全校ではなく、ある程度の有力校のみです。

第100回箱根駅伝の有力校について

今シーズンの戦力傾向については、全日本大学駅伝の結果が一番参考になります。
その結果を見ると、優勝が駒澤大学、少し離れて2位争いが、青山大学・国学院大学・中央大学の3校、そして、ここで大きく差が開いて5位争いになります。5位〜シード争いが、城西大学・創価大学・大東文化大学(次の東国は箱根予選落ち)までが全日本のシードで、争って落ちたのが早稲田大学。
ここまでの大学とそれ以降ではまた少し差があると思っていて、その中でも、法政大学と東洋大学のシード校と、帝京大学と明治大学の予選会校の4校であと2つのシードの椅子を争う、という構図かな、と思っています。
(もちろん、他の大学にチャンスがない訳ではないし、上記大学がシード落ちする事もあり得ますが。)
その辺りを踏まえてコメントしていきます。

駒澤大学

駒澤については、やはり唐澤選手については触れない訳にはいかないでしょう。数少ない27分ランナーであり、しかも関東インカレで日本人トップを何度も取っている、勝負強さもあるランナー。このランナーがある程度の状態で出走すれば、当然エース級の働きをするだろう選手です。なので、唐澤選手の不在はさすがに大きいです。
と言っても、前哨戦の上尾ハーフで全然走れてなかったので、箱根エントリーは難しいだろうとは思われていました。チームとしても唐澤選手抜きで想定していたでしょうから、チームへの影響はそれほどではないでしょう。元々、唐澤選手が居なくても速くて強い選手が駒澤にはたくさんいます。はっきり言って、駒澤が負けるとすれば、インフルエンザなどで主力選手が複数走れなくなった時でしょう。ただ、そんな時でも唐澤選手が万全ならかなりカバーできたでしょう。その影響はあるかもしれない、と言った所だと思います。

青山大学

駒澤の対抗最有力は青学でしょう。その青学は、志貴選手・鶴川選手・鳥井選手がエントリー外となりました。この中では鳥井選手のエントリー外が地味に大きいと思います。
というのは、前哨戦となる秋のハーフマラソンで、最も際立った活躍をしたのが鳥井選手だからです。青学では世田谷ハーフで優勝した選手がその後の箱根で大活躍するパターンが結構あります。しかも鳥井選手は好タイムで2位以下を大きく離しての優勝でした。なので、復路を走れば対駒澤でアドバンテージをとれる可能性のある選手だったと思います。その武器が一つなくなる事を意味します。
志貴選手・鶴川選手についても、使えるに越した事はありませんが、今年の流れの中では難しいだろうと予想されていました。しかし、今年ちゃんと走れていた期待の選手のエントリー外は、それなりに影響あるだろうと思います。

中央大学

中央大学については、上に挙がっている選手は、特に今シーズン活躍していた訳ではなかったので、多分、それよりもエントリーされた下級生の選手の方が勢いがあると判断されたのでしょう。エントリーとしては万全と言って良いと思います。
ただ、中央については、前回の復路を支えた卒業生の穴が十分に埋まっていないと思います。若手選手は出てきていますが、まだ前回の卒業生の域まではきていない。なので、中央の復路は前回よりは弱いと思います。

國學院大学

鶴選手は持ちタイムはかなり良い選手ですが、今シーズンここまでみかけていませんし、國學院は前哨戦で好タイムを出した下級生の選手がたくさん出たので、そこまで影響はないでしょう。そう言う意味では、こちらも万全と言って良いエントリーと思います。
國學院に関しては、山をどうするかが最大の懸念点でしょう。國學院以外の有力校は山登りに目処はたっていて、しかも相当に強いと予想されます。なので、國學院がそれらの大学と戦うには5区でもそれなりのタイムを出す必要があります。それがどうなるか、が國學院の命運を握るでしょう。

城西大学

城西は、前回走っている2選手がエントリー外となりました。2人とも区間順位は良くなく、しかも今シーズン全然姿を見かけていません。ですが、それほど層が厚い訳ではない新興校である城西にとっては、経験者のエントリー外は影響あると思います。
特に、区間下位だったとは言え、6区の経験者が外れるのは地味に大きいと思います。というのは、城西大学の数少ない弱点が6区で、逆に6区さえ乗り切れれば去年からかなりの上積みが期待できそうに思えます。名将・櫛部監督の采配は如何に?
留学生キムタイ選手が今シーズン駅伝で覚醒してるのは心強く、エース斎藤選手も27分台を出してエース区間で十分に戦える力をつけてきています。その上で山に大砲が居る。往路を戦える体制は十分に整いつつあります。

創価大学

創価では、留学生エース・カミナ選手のエントリー外が目立ちます。創価大には留学生選手が2人いますが、例年2人ともエントリーはしていて、調子の良い方を使う(というかエースが調子悪くなった時の保険)というスタイルだったので、恐らくカミナ選手にトラブルがあったと思われます。
箱根駅伝では留学生選手は1人しか走れませんから、もう1人の留学生ムチーニ選手がしっかり走ってくれれば問題はありません。しかし、それほど経験のある選手ではないので、調子を上手く合わせられるか、という不確定要素が出てきてしまったとは言えるでしょう。(特に創価は留学生と吉田響選手が激走する事が上位進出の絶対条件となってる大学なので、調子が悪かったらいきなりシード争いに巻き込まれる事になってしまいます。)

大東文化大学

大東文化大学は予選会校ですが、予選会はトップ通過、その後の全日本大学駅伝でシード獲得と、チームは確実に上昇気流に乗っています。なので、5位争いの輪の中に入る力は十分にあると思います。
エントリーについては、特に問題はなさそうです。万全と言えるのではないでしょうか。
注目は留学生ワンジル選手の使い所。実力はありますがエース区間で他校のエースとガチンコで戦えるタイプではありません。エース区間は久保田選手ら日本人エースで凌ぎ、繋ぎ区間にジョーカーとしてワンジル選手で順位を上げるのが戦略となりそうです。それがどう出るかが注目です。

早稲田大学

早稲田は、5位争いの輪の中ではチームとしての最大値は一番あると思います。ただし、その中では一番層が薄いため、崩れる可能性が最も高い大学とも言えるでしょう。
その影響が出てしまったのが全日本大学駅伝でした。特に長距離区間をしっかり走ってくれるはずの佐藤選手の不在は大きく、シード権を逃す結果となってしまいました。また、走ったメンバーも調子を大きく落としていたり前レースの疲労が抜けきっていない選手も居たようで、そういう選手を外せない層の薄さも出てしまったようです。
エントリーについては順当と言えるでしょう。しかし、仮に走れなくなった選手が居たとしても、代わりに入る選手がいなかった、という可能性も否定できません。そういう層の薄さが1番の懸念点です。

法政大学

法政大学も5位争いに絡んでくる可能性は十分にある大学だとは思います。ただ、出雲駅伝を見るに、前回大会時ほどのパンチ力はなさそうです。5位争いの相手は、城西・創価は山に大砲がいますし、早稲田には優勝争い校に見劣らないエースが複数います。大東は今シーズン充実していて、なおかつジョーカー的に使える留学生選手がいます。それらの大学と比較すると、アドバンテージと言える部分に欠けているように思えます。
エントリーは極めて順当。ただし、早稲田ほどではないしても、法政も層が厚い大学ではありませんので、細心の調整が必要となる事でしょう。

東洋大学

東洋大学は今年、相当にピンチです。かつての強豪も、今年は良いところがない駅伝シーズンとなっています。
エントリーでは、石田選手が外れる事は覚悟されていたと思いますが、出雲をそこそこ走れていた菅野選手が外れたのは地味に痛いかもしれません。
復帰したエース松山選手も、どこまで状態を戻せるか未知数です。しかしシードのためには松山選手が1・2年時のような走りを2区でする事が絶対条件だと思います。それでやっと、シード争いの土俵に立ったと言えるでしょう。それくらい、今年の東洋には良いところがありません。

帝京大学

昨シーズン苦杯を嘗めた帝京大学ですが、今年は臨戦体制を整えてきたように思います。全日本大学駅伝の前半は上位争いにしっかり加わっていました。西脇選手が恐らく脱水のアクシデントでブレーキとなってしまい、上位争いの輪からは外れてしまいましたが、それ以外の選手はしっかり走れていました。全日本での奮闘は、スピード化した往路の争いにも対応できる事を示していると思います。
その後、エース小野選手が1万メートルで自己新を出して復帰、戦力はさらに充実してきています。エントリーもほぼ順当。山をどうするかは未知数ですが、往路ではサプライズな躍進は十分にあると思います。その上で山を乗り切れば、復路のしぶとい争いは帝京大学はお手のものです。

明治大学

明治大学も、シード争いができる戦力は十分にあります。エントリーも極めて順当。
ただし、明治大学はここ数年、十分な戦力を持ちながら、ちぐはくな戦いでシードを逃し続けています。前回大会では区間賞を2つ取りながらシード落ちでした。
なので、明治については、まずは大きなブレーキを出さずに自分達の実力を出し切る事が重要になると思います。

それ以外の大学について

順天堂大学はシード校ですが、卒業生の穴が大きく、その穴が埋められていません。シードを確保できたらサプライズと言えるかもしれません。
あとは、実力を出し切った時に最大値が大きいのは東海大学だと思います。ただ、東海大学も最近はちぐはぐな継走が続いています。ポテンシャルの高い選手は揃っているので、何か歯車が噛み合えば、シードはありえるでしょう。
日本体育大学、神奈川大学、中央学院大学も、ある程度の戦力はあると思います。ただし、前回の城西の「山の妖精」レベルのサプライズがないとシードには届かないように思います。
シート争いにはさすがに厳しいとは思いますが、東農大のスーパールーキー前田選手の走りは本当に楽しみです。

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