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箱根駅伝2023 駒澤大学優勝で3冠達成!

第99回箱根駅伝、面白かったですね。
箱根駅伝の名物監督・駒澤大八木監督が勇退されるとの事で、3冠達成で有終の美と飾りましたね。
簡単に振り返っていきましょう。

復路当日変更

駒澤は今シーズン大活躍だった花尾選手と佐藤選手が走れず。青学も前回区間新の中村選手が走れず。中央はほぼベストメンバーで、中央の逆転もありそうに思いました。それ以外も、万全のメンバーを組めなかった所が多かったようです。

優勝争い

昨日書いた復路展望で心配した通り、青学が山下りで失速して駒澤と中央の一騎打ちになりました。復路スタート時に30秒だった差を、少しずつ少しずつ広げた駒澤が最後までトップを守りました。両校ともずっと良い走りで、最後まで勝負の行方が分からない名勝負だったと思います。ただ、駒沢の6区・伊藤選手の区間賞が大きかった。中央は前回5位で走っている経験者・若林選手、ここで差を詰め追いつく事が期待されていて、実際に区間2位の好走だったのですが、それを上回る快走で差をわずかですが開く事になりました。その流れが最後まで続いた訳で、復路、逃げ切ったMVPは伊藤選手だったんじゃないでしょうか。
でも、中央大学の復路も強かったです。駒澤と戦力差はほとんどなかったと思います。駒澤も最後まで一時も気が抜けなかったのではないでしょうか。ちょっと流れが変わっていれば、差が詰まって追いつくという事もあり得たと思います。それだけに、6区の流れが大きかったですね。でも中央としてはやれる事は尽くしたと思います。

3位争い

前日の予想では4位争いが激しくなる、と書きましたが、青学が山下りで大きく失速し7位まで落ちてしまった事で、3位争いが激しくなりました。そして、前日に予想した3校(國學、順大、早大)に加え、山下りが良かった法政と創価がその争いに加わってきて、6校での3位争いとなりました。
しかし、この6校の中では、さすがに青学は地力が違っていました。7区、8区は悪い流れを断ち切れなかったのですが、9区でエース岸本が区間記録に迫る走りで一気に3位にまでチームを押し上げました。
あと、3位争いの中で順位変動はありましたが、3位争いの範疇での変動だったので、シード争いに巻き込まれずにすみました。

シード争い

シード争いは、東国、城西、東洋、明治の4校で2枠を争う構図でした。東国は6区で経験者の林選手が走れず、代わりに走った吉住選手が区間18位で順位を9位まで落とし、シード争いに巻き込まれる事になってしまいます。その後も悪い流れは続き、8区で宗像選手がアクシデントがあったような走りになり、シード争いから大きく遅れをとってしまいます。9区・村松選手、10区・堀畑選手が追い上げますが、届きませんでした。
明治大学は6区山下り・堀選手で差を詰め、7区・杉選手が区間賞の激走で一気にシード権内まで上がってきます。しかし、9区10区で力尽きた形に。
そんな中、城西大学は、大崩れせずに最後まで繋ぎ切った事がシード権獲得の勝因だったと思います。後ろから格上の選手が来ても食いつき、絶対にシード権を獲得するという気迫を各選手から感じる走りだったと思います。
東洋は、6区7区と追い上げられず、本当にピンチでした。そのピンチを救ったのが8区木本選手。区間賞の激走でシード権まであと少しまで差を詰め、悪い流れを断ち切ります。その後、エース格の梅崎選手が9区4位でシード権内に入り、何とかシード権内に滑り込みました。

全体の感想

非常に面白かったのですが、一つ残念だったのは、怪我や体調不良などで走れない選手が多かった事です。万全だったのは中央大学くらい。(中央は全日本大学駅伝では吉居・中野両エースが体調不良でした。)駒澤はエース田澤選手がコロナ感染で十分な練習ができず、花尾選手・佐藤選手が胃腸炎で出場を見送る状況でした。青学は若林選手が発熱で急遽走れなくなり、山下り予定の脇田選手が急遽山登りに、山下りを急遽、西川選手が走る事になり、その両区間がチームの明暗を分ける事になってしまいました。また前回9区で区間記録を大幅更新した中村選手も走れないなど、他にも万全ではありませんでした。
そんな中でも駒澤は崩れませんでした。体調不良の中、急ピッチで合わせた田澤選手がエース区間を上位で走ったのが大きかった。一番厳しい区間をエースとして守り抜いた事で、チームが奮い立った部分があったのではないでしょうか。その姿勢は、例えば4区鈴木選手に乗り移り、スパートで離されても諦めずに追いかけ壮絶なスパート合戦に持ち込み、あの名勝負を産んだように思います。また、出雲・全日本の勝因とも言える主力の花尾選手・佐藤選手が走れなくても、代わりに走った選手が区間5位以内で全員走った層の厚さ。走った人間以外も遜色ない力を持つ層の厚さは青学の専売特許でしたが、今シーズンは駒澤もそれくらいの層の厚さを持つようになりました。今後は優勝争いをするには、それくらいの層の厚さが必須となるのかもしれません。

大八木監督退任

この件には触れざるを得ないでしょう。
予選会校だった駒澤大学を、コーチ就任後、その情熱的な指導で4連覇するような強豪に生まれ変わらせ、東洋や青学の台頭で勝てなくなり低迷した時に、今の学生の気質に合わせて指導法を柔軟に変え、再び優勝する強豪校に再生。そして今回、悲願の3冠を達成しました。箱根駅伝を盛り上げた功績は計り知れないと思います。
特に、成功体験を持った人が、それを否定するかのように自分を変えるのは容易な事ではなかったと思います。誰もができることではありません。それを成し遂げて再び優勝したのは、何より凄い事だと思います。
今年の駒澤の隙のなさ、しぶとさは、何としても大八木監督に花道を飾らせようという駒澤の学生たちの執念だったように思われます。度重なる体調不良でもエースの役割を守り抜いた田澤選手、秋以降覚醒した円選手に、特にそれを感じました。
私自身も、ちょうど箱根駅伝にハマり始めた頃に出てきたコーチだったので、思い入れもあります。駒澤の選手は失速しかけていても大八木コーチの檄を受けると何故か生き返る、とライバル校を恐れさせたエピソードなど大好きだったりします。
もっとも、退任と言っても、総監督になって監督を現コーチの藤田さんに禅譲する形。いきなり居なくなる訳じゃなく、役割を少しずつ藤田新監督に譲っていく形でしょう。
(ただ、似た形で禅譲した順大・沢木さんが、監督が学生より沢木さんの顔色を伺うようになって低迷した過去を知っているので、なる早で藤田さんに任せて口出ししないようにしてほしいな、とも思っています。)
とにかく、大八木監督、お疲れさまでした。

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